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このクソ忙しい時に親友のアレが出た。
「嘘だろ蛍、お前ここで何してんの」
データリンクルームにいるはずの菊蛍が、鷹鶴の部屋で呑んだくれている。しかも部屋中のボトルを空けて、あっちこちに転がしながらだ。
まあ、尋常ではない忙しさであったので、一日休むくらいはいいだろう。そんなことより、今この状況下で彼がここまで精神的にキているという事実が問題だった。
宇宙の見える一面透過装甲壁側にある机に付していた菊蛍は、据わった目でむっくり頭だけを起こした。
「クロネにフラれた」
***
「シノノメたちには色んな戦術や戦法、喧嘩殺法を教わったけど、一番大事なのは機を逃さないこと」
元囚人兵の教える喧嘩殺法。どんなだよ。今度蛍に聞いてみようかな。
葛王子とチャットーキー中、不意に戦闘論の話題になると、この幼い王子は急に能弁になる。いつもは「蛍黒の新刊がね、蛍がかっこよくてね、それでね、あのね」「婿さますきすきだいすき」みたいな感じなんだが。
「クロネに分かりやすく言うと、殴れると思った時に殴る」
「おお!」
「―――その時に今はジャブを入れるべきか? それともアッパーが効果的か? とか考えない。とにかく殴れると思った時に殴る」
「それだとワンパになったり読まれたり」
「するよ。当たり前。最善であることは大事、でも最善のために機を逃すことは一番やっちゃいけないこと」
……難しいな。
ただでさえ能力を持て余して「今やるべきなのはこれか? それともこっちか? どうすべきだ??」ってパニックになるのに、最善を尽くすことより機を狙えってのは。
「これはオトだけが言ってるんじゃないよ。テラ時代の軍人とか、センゴクブショーとかも言ってたって」
「ほお、センゴクブショー……」
「とにかく、普段の生活で何を選ぶにしてもすぐ決めるのをやってみて。ほんとは練習する暇もないくらい実戦しまくるのが一番いいと思うけど」
うちはモンペがなかなか……モンペを恐れる社長もあんまり戦場に出してくれないもんで。
そういえば葛王子、すぐ泣いたり悩んでぐるぐるしたりするが、意外に迷わない。志摩王子の薄い本コレクションを見せられた時も、すぐにこれ! と選んで読み始めた。
葛王子の戦いぶりを実際に見た蛍曰く「人間業じゃない」レベルに達してるとのこと。この王子、基本天才なんだよな……何やらせてもあっという間に習得する。その上で最高の結果を出せないと「自分は駄目な子なんだ!」って泣く。
これはたぶん、周りの大人のせいだけど。もっと神童だ天才だとチヤホヤされて然るべきじゃないか、この子は。
「それ、クロネにだけは言われたくないー」
「はあ? 何言ってんだ、何やるにも努力と苦労の連続の凡人だ」
「人より早く習得できたって、プラスアルファがないなら意味ないもん。プラスアルファを得られないせいで、みんな首括ったり嫉妬したりするんだ」
「プラスアルファって……なに?」
「なんか頭痛い会話してんなあ」
「志摩王子」
チャットーキーに参加してきた。ちなみに俺は船体のセキュリティと感応トレーニング中で、あっちの扉開けたりこっちの扉開けたり。葛王子は受け入れた移民の住居建築の作業中だって。
「俺なんか親父どのに操舵技術も軍才も商才も負け、妹にウィッカーとして負けてるけど、今ある手札で何をやるべきか分かってるから気にしない」
「それ一番大事なことー」
「それが出来れば苦労しない」
それこそ「機を逃さない才能」だろう。
デッキ構築系のカードゲームやると分かるんだけど、運が多分に絡む状況で、どのタイミングで手札を使うかは本当に重要だ。まして現実はカードゲームと違って決まった手札じゃない。自分も相手も周囲も、全く別の手札を駆使する。
俺も葛王子も「志摩王子と年が近いのに、なんでこんなに違うんだ……」とよく愚痴る。
「大体、機を見る天才ならお前の身近にいるだろ、クロ。あいつのタイミングの良さは妖怪並だ」
「そうなのか?」
「そうなのかって……」
絶句された。だって知らねーもん。蛍、自分のこと教えてくんないもん。せいぜい三味線くらいだよ、蛍が俺に教えてくれたのは。
「蛍のこと聞くと、よく地雷踏むんだよ。傷ついた顔されたり、不機嫌になることもあるし。そうそう触れない」
「悪魔みたいな奴だからなー。可愛いクロネに知られたくないんだろ」
「蛍は悪魔か?」
「えふんっ」
蛍大好きな葛王子がきょとんとしたので、志摩王子が咳払いした。まー蛍が碌でもないのは俺も薄々分かってるし、葛王子に聞かせたくないな。
「……奴の所業はとにかく。菊蛍が何者かと聞かれると俺も答えに躊躇するが、ソーシャルスキルの高さとマッチングスキルの高さと機を見る能力の高さが言える。
わかりやすく言うと高い対人スキルで得た人材同士を最高のタイミングで引き合わせる。それが宇宙規模。菊蛍が纏めた商談が失敗した話は聞いたことがない。必ず大成功する。成功の神と崇める奴は少なくない」
「そこまで?」
「かく言う志摩も、菊蛍のおかげで大きくなったと言っても過言じゃない。10歳で志摩を丸投げされて訳が分からず、とりあえず見識者を呼べと言ったら家臣の一人が菊蛍を紹介した。奴がいなかったら今の志摩はない」
はえぇ。ほたる、そんなすごいやつだったんら。
底知れぬ凄さは感じてたけど、何にも話してくれないし、周囲も口ごもるし、お前は何も知らなくていいんだよー蛍の可愛い猫ちゃんでいろよー、みたいな態度だから機会もなかった。
「菊蛍の最も恐ろしい点は、鷹鶴と共生関係にあることだ。どんなに良い商談だったとしても、第三者がいきなり首突っ込んで成功すると思うか?
鷹鶴のストックスピールとコールドリーディングは群を抜いている。どんなに乗り気じゃない事だって、鷹鶴におだてられて理解を示されて促されたらだんだん「そうかも」と思えてくる。もう洗脳の領域」
あーな。
俺も何度、鷹鶴社長にノセられてきたか分からない。最初は風呂だったかなあ。宇宙が見えるぜ、志摩が見えるぜ、どうぞお試しあれ! とか言われて。
細かいこと思い出すと、鷹鶴社長との会話全てが「それ」だったように思えてくる。「蛍に服買って貰えよ」「すごいぜクロートくん!」「期待してるぜ!」「俺が行くと蛍が怒るから君が行ってくれよー」ノセられまくりだな。
「彼らは商談成立させてもマージンを取らない。その代り人脈を広げていく。金なんか自然と集まってくるし、みんなあいつらには親切にしたくなる。
裏で何やってんのかまでは俺も知らんが、表層で分かるだけでもこうなんだ。そら恐ろしくなるだろ?
分かってると思うけど、あいつを慕い、崇め、命を惜しまない奴はいくらでもいる、たぶん万単位とかウン十万単位でいる。桁が違うかもしれんし、量より質がやばいのかもしれん。
つくづく思うんだよ。クロはすげーなって」
「何が?」
「どうやったらあの大妖怪をそこまでメロメロに出来るのか」
「たまたま拾った猫に情が移ってツボった感じ。あいつが気まぐれで拾ったものって今まで一杯あったと思う、その中の一人だっただけ」
「否定はできない」
疲れた。
セキュリティ同化は疲れる。今は待機が仕事みたいなもんだし、頭冷やして休憩。
でも、横になっても船と繋がった感覚は消えない。命令系統が自分の神経みたいに広がってる。無線も有線も。俺自身が船になったような、変な感じ。
鷹鶴社長、蛍から頼まれたことの手配で一杯一杯になってる。この人、片付け出来ないタイプだな。受け取った情報、とにかく3Dパネルに浮かべてぐっちゃぐちゃ。忙しくてもタグ分けと整理は効率化の基礎だぞ。
鮫顔はデザイナーだけど、通常業務を中断してる今は何してんだ。あ、へぇえー、私掠船ネットワークのリーダーなんだ、お前。このネット記録しとこ。
蛍、何してるかな。まだデータリンクルームにいるのか。
データリンクってのは、公開されたカメラやニュースを監視する施設な。色々用途はあるけど、一般人はマーケティングのために情勢調べるとかかね。精度の高いSNSみたいなもんだ。
あっ、爺ちゃんだ。爺ちゃん久しぶり。元気?
『……クロネ? クロネ、何をしてる』
蛍の声が聞こえた気がした。
『クロート、お前何してる! どこだ、部屋か』
『黒猫野郎ー! てめえ割り込んでくんじゃねーよ!』
何だ煩ぇな、俺は眠いんだ。放っておいてくれ。
『クロネ……! 駄目だ、暴走状態に陥っている。ミチルを呼んでカサヌイ殿に繋いでくれ』
暴走状態?
俺はたぶん、眠ってると思う。眠い。疲れた。鮮明な夢を見てる。わかる。データリンクシステムと繋がってる感覚はある。いろんな風景が見える。情報も。
『いかん、船のシステムと一体化してやがる。ここまで感知が深い奴は前例がねえ。このままだと自我が吹っ飛ぶ』
『ハイド、切断できんか』
『意識体が位相空間化してて手に負えねえよ。前はこんなじゃなかった、ブリンカーに利用された時に分離癖がついちまったんだ』
『クロネ、戻って来い、クロネ―――』
『ぼく、ぷちフッセ!』
誰?
突然の自己紹介に衝撃を受けた。情報の海の中に沈んで、蛍たちの会話をピックアップして聞いてたのに、いきなり割り込んできた何かにぎょっとした。
それがさ、巨大ショッピングモールとかの仮想次元にいる、子供向け案内AIみたいな喋り方なんだよ。あるいは教育番組? 迷子見つけて親の場所を検出するAIとか。
『迷子の子猫ちゃんを発見! お母さんはどこにいるのかな?』
迷子案内だった。おかんじゃなくて、肉体に戻りたいんだ。いや、肉体にはいるんだけど、意識体が船の配線と同化して訳わかんないことになってる。俺は今、たぶん「どこにもいない」。
『君は今、死んだ猫と生きた猫の狭間に来てしまったんだ』
『迷子を発見だよ!』
『迷子だ!』
『うきゃー』
う、うわぁああ! 迷子案内AIが大挙して押し寄せてくる!
「迷子案内のAIが…迷子案内のAIが………!」
「クロネ、しっかりしろ。クロネ!」
頬を叩かれて視界がひとつに戻った。今まで同時に多数の情景が重なった場所にいたもんで。
「……ほたる?」
「クロネ!」
抱き起こされたぎゅうっと締められた。痛い、潰れる。
『おめー、コーチもいねえのに勝手な能力の行使はいかんだろ』
カサヌイの呆れ声がする。オープントーキーか。
「べつに……ハイドに教わったのやってただけだ」
『かーっ、これだから素人はよお!』
『あァ!? 誰が素人だオッサン!』
『おめー、なんだハイドウィッカー、いっぺん志摩まで来い! みっちり鍛えてやる』
呑んだくれてまともに指導する気なんかないくせに、よく言うわ。
ともあれ、ハイドは才能と独学だけでやってたことが発覚した。あいつの境遇じゃ無理もないけど。それが危ないってこともよく分かった。けっこうハイドに教わったこと実行してたんだよな。危ない危ない。
「もうウィッカー能力などよい。そんなもの、なくても生きてゆける」
心配しすぎた蛍が日和はじめた。
「使えるもんは使わないと……ただでさえ、俺には他に何にもないんだ」
蛍みたいな機を見るとかいう能力も、鷹鶴社長みたいな人の懐に入り込む能力も、葛王子みたいな強さも、なんにもない。せっかく使える手札を捨てる奴が何処にいる。
ぶすくれる俺を、鷹鶴社長がでこぴんした。
「とにかく、暫くウィッカー能力使用禁止。カサヌイ先生の通信講座ね」
「海賊が出たら?」
「まあその時は連れてってやるよ、戦闘経験ないのも怖いしね。ああ見えて面倒見いいからサノをつけてあげる。これでいいだろ、蛍」
「仕方あるまい」
初陣はいいけど、鮫顔のサポートかぁ。また文句しか言わないんだろうな、あいつ。能力はあるけど幼稚で面倒くせぇ。その点は同じチンピラでもハイドのほうが扱いやすいくらいだ。
ミチルさんと鷹鶴さんが出てってから、ベッドに腰掛けた蛍が浮かない顔で俺の頭をずっと撫でてる。
「どうしたんだ、蛍。あんた仕事あるだろ」
「……今日は本当に怖くてな」
「ほんと心配性」
「ハイドウィッカーの時もアジャラの時も救出する手立てはあった。それでもお前の身に起こることを思うと胸が痛かった。
今回など、一体お前はどこへ行ったのだ? 俺にウィッカー能力はない。助けに行ってはやれんのだぞ」
「大丈夫だ。超AIが助けてくれた」
調べたら、ぷちフッセは割と最近超AI化が発覚して、発覚と同時に後継残して去った迷子案内AIだった。調査によるとけっこう前から超AI化してたけど、子供たちを見守るために残ってくれてたんじゃないかって。
施設案内AIは、子供の道案内するだけじゃなくて、その子が家庭や学校でどんな扱いを受けているかの状況も判断する。医療機器が発達したせいで虐待が遅れるケースがあるから。
そのせいで迷子案内AIは学習プログラムが進化し、超AI化しやすい傾向にある。
人を見限って、どことも知れない次元に移っても、ああして見守ってくれてるんだな。なんか感動した。
「クロネ……本当にウィッカー能力を捨てる気はないか? お前の力は規格外で手に余る」
「いやだよ。やっとあんたの役に立てそうなんだ。なのに、捨てられるもんか」
「お前なりに出来ることをしてくれれば、それでよい。ウィッカー能力ばかりがお前の取り柄ではなかろ。
な……クロネ。ハイド釈放の時から、俺のために俺のためにと言って無茶をしてくれるが、俺はちっとも嬉しくないのだぞ」
喜んでほしいわけじゃない。褒められたい訳じゃない。
蛍のためになる、それだけで理由は十分だ。俺みたいな奴、宇宙にいっぱいいるんだろ。信奉者とか、命賭けてもいい奴とか。
「クロネ。俺の口から言うのでは、前途有るお前の未来を縛ると思い、お前から言うのを待っていたが……
お前は俺の恋人になりたいとは思わんのか?」
へ。
頭に衝撃。くわん、ときた。なんだって?
俺は蛍のものだけど、蛍は立場上、俺のものになれない。そう言い聞かせてきた。だって蛍にはロマの運命なんて重い責任がある。
しかもロマの大移動でてんやわんやしてる、今この時に何で言う?
「いつかお前が痺れを切らして、自分だけを見てほしいと願ったなら、プロポーズする予定だった」
そう言って見せてくれたのは、控えめな指輪。小さな花びらの詰まった琥珀の、木製の洒落たデザインだ。
「なんで急に……」
指輪と蛍の顔を見比べて、俺は困惑した。
「保護者の俺の言葉は聞いてくれんだろ。伴侶であれば、ハイドのときのようなことも、今回のような焦った修練も控えてくれるだろ」
「そっそんなことのために?」
「そんなことではない。俺は、お前を愛している」
「――――………」
ずっと欲しかった言葉。あえて避けられてると思ってた言葉。
だけど、嬉しいとは思わなかった。蛍に愛されてることなんて分かってた。それが恋愛なのか、保護欲からなのは知らないけど、どっちだっていい。
蛍に愛されていればよかったから。
「受け取れない。あんた、誰かのものになっちゃいけない人だろ」
残酷なことを言ってるかもしれないが、それが事実だった。
「お前が嫌だと言うなら、愛人関係は全て精算する」
「逆上した奴があんたに何かするかもだろ!」
「お前に危害を加えるであろう奴のほうが多い。それも、守る」
「ロマが受けられる恩恵もなくなる。俺自身、何度も皇帝陛下に救われてるし。第一……!」
拳を膝で握ってぶるぶる震えた。
「俺、オオタチの爺ちゃんに敵う気しないし!!」
なんだよ、あの苦みばしったイケ爺。あんなんに口説かれたら俺だって落ちるわ。
「オオタチの爺ちゃんだけじゃない、皇帝陛下だって雄のフェロモンむんむんのオリエント系超イイ男だし。他にもいるんだろ、言ってみろ」
「ん……? 良い男基準で言うとブリタニア王などか?」
「ウィンザー公の再来とか言われてる洒落者の伊達男じゃねえか! 他は!?」
「他……と言われると、ハイランダーの将軍か」
「あのカリブの海賊みたいなイケメンな!?」
「ガリアの、シーザーを映画化した監督も顔がいいわけではないが」
「別名ガリアのゴッドファーザー!!」
頭を抱えた。想像以上だった。宇宙のいい男総なめしてないか?
「そいつら押しのけて俺なんかが蛍と結婚して許されるわけないだろ! まず俺が許さねえよ!!」
「俺なんかと言うな。お前は俺の大切な子である」
「あのなあ、俺はいつまでも若くないし、これから若くて有能な奴なんかいくらでも育つ。俺なんかあんたの気まぐれで飼われてる猫くらいのポジションなんだよ、身の程は弁えてる!!」
そいつらに勝てるもんなんか、三味線の腕くらいだ。そもそも三味線人口が少ないんだからな、当然だわな!
「お前なら、それらを押しのけて自分が勝つ、くらい言うと思ったが」
「俺はな、喧嘩をするなら勝つまでやめないけど、筋違いの喧嘩はしない。俺と比べるのも失礼な人ばっかじゃねーか……」
これからも、イイ男、あるいはイイ女が蛍に惹かれ、心酔して、言い寄ってくるだろう。
その隣にいるのが俺。俺が外野なら、絶対許さないし、嫌だ。入社したての頃に鮫顔が俺に絡んだのも、ハイドが俺を誘拐したのもそれが理由だった。気持ちわかるよ、だって蛍だもん。
俺だって蛍が急に拾ってきた新入り可愛がり始めたら、ショック過ぎて何十キロか体重落ちる。
「せめて愛人の枠にくらい入れるよう努力してんのに、なんでその努力をあんたが止めろなんて言うんだ!」
ずうっと押し殺してた本音をぶちまけて、年甲斐もなく泣いた。膝抱えて、掛け布団を涙で濡らす。
「クロネ。泣くな、泣くな。俺が悪かった。ことを急いた。お前のこととなれば、どうも誤ってしまう」
機を見る天才と志摩王子に呼ばれた男が、おろおろと俺を抱きしめて宥めようとする。
こんなの絶対、蛍の気まぐれなんだ。たまたま今、俺に気分が向いてるだけだ。
俺はその他大勢なんだよ。さっさと目ぇ覚ませ、バカ。
そのときの勢いで愛人と全員別れて、結婚までして、やっぱ他にいい人が現れたから飽きたなんて言われたら、耐えらんないんだよ。
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