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菊蛍は相変わらず囚われの身であったが、心は軽かった。
あの子猫は一体いつの間にああまで成長してしまったのだろう。
(いつまでも俺のかわいい猫でいてほしいと思ったが……なかなかうれしいものである)
なにより、蛍を必要としなくなった訳ではないことが嬉しい。黒音は自分の手から離れれば去って行ってしまうように考えていた。だが、黒音には自分が必要なのだと分かり、安堵した。
菊蛍にはあの子が必要だ。誰よりも、愛している。
「のんきなもんだぜ、浮かれちまってさ。知ってるかい、奴ら内部分裂を起こしてるぜ」
「クロネ派と、俺派であろ。若手と年寄りの諍いだ」
「なんだ、知ってたのか。下手したら血の気の多い若いのに殺されるぜ。奴らクロネを担ぎ上げて取り入ろうとしてる。君を殺せばそれこそ八つ裂きにされるっていうのにな」
「ふふ」
「なんで嬉しそうなの」
自分が殺されれば黒音が怒ってくれる……そのことがとても嬉しい。とても悲しんでくれるだろう。ただ、黒音の場合、後を追ってくるであろうことが怖い。
それは、菊蛍も同じだったが。
「クラミツ王子にあんまり苦労かけるなよ」
はとこであり、黒音の弟であるクラミツ。何度か志摩王子の伴をしている姿を見かけはしたが、直接会話をしたことはない。
次にクラミツに会えるのが楽しみだった。
***
編成で志摩に帰ったら、カサヌイのおっさんがアエロと待ち受けていた。
「仕込んどいたから、その頭治せ。敵につけ込まれるぞ」
確かにそう。どうにかしたいのは山々だった。
「へえ。そんなことまで出来るのか。えらいえらい」
弟のように思ってるコネコに続いてクラミツという実の弟が出来て、兄さん風吹かせたい気分だったのか、ついアエロの頭を撫で撫でしてしまった。相変わらずアエロは小さい……が、実は俺とそんなに年が変わらんのだよな。
アエロはうつむいて目を合わせてくれなかった。嫌われてんのか?
俺たちが蛍のために造られたと分かった今、遺伝子レベルで蛍に惹かれる因子が含まれててもおかしくない。だとしたらアエロの行動も無理のないもので、蛍も理解するだろう。
俺と蛍は何も失っていない。だからいいんだよって言おうと思ったが。
「お願いですから許したり、慰めたりしないでください。惨めになります」
ん、敬語使えるようになったんだ。成長を感じるなあ。人のこと言えないか。俺も吃りの口下手だった。志摩王子としゃべくるようになって、あの人の口調に似てきた気がする。
「そういうなら何も言わんけど。ただ、これは聞いてくれ。
俺たちはブリンカーの策略で、蛍の好みに沿うよう造られた。だから蛍を好きになるのは、きっと自然のなりゆきだった」
人工的に造られて自然のなりゆきってのもおかしな話ではあるが……
「俺のこと、信じられますか?」
上目で伺ってくるので首をかしげる。
「お前を疑ったこと、一度もないよ」
嫉妬したことならあるが、それは疑いとは違うだろう。
なぜか志摩親子とクラミツに爆笑された。なんでだ。アエロはより一層悲惨な表情で俯いてるし。
「やるんなら頼む。この酷い状況にはうんざりしてるんだ……ただ、何をどうする?」
「更にフィルターをかけちまえばいいのさ。あとはお前の脳みそとツーコアのマイクロチップがうまい具合に嫌な記憶をごまかしてくれる。脳みそってのはご都合主義の主人公補正だからな」
と、アエロの頭を撫でながらおっさん。主人公補正言うな。不安になってくんだろ。
「じゃ、俺の目をじっと見てください」
素直にアエロのヘーゼル色した瞳を見つめる。意識が遠のくような目眩を覚え、くらっとして倒れかけたのをおっさんに支えられる。
「よしよし、どうだ?」
「……わからん」
「死後大皇の葬儀の夜、何があったか覚えてるか?」
「確か」
蛍が迎えにきて、別室にしけこんでセックスした。いつものように可愛い可愛いねこねこ言われて、帰って寝た。だけと思うが。
「じゃあ次。ブリンク能力の研究について覚えてるか。生前のハイドと共同で進めていたものだ」
何それ思い出せない。そんな重要そうなこと、忘れられないよな……アグナータに忘れさせられたのか?
「思い出せねえならそれで成功だ」
「そうか?」
「今まで、ブリンク能力の研究について思い出そうとするとお前さんは酷い状態で倒れてたんだぜ。思い出せなくても、この症状がなくなっただけ御の字だろ」
吐いたり倒れたり、葛王子やクラミツに迷惑かけまくってたからな。あの酷い目眩がなくなっただけよしとするしかない。
「ありがとな、アエロ。助かった。テレパスって敵だと怖いけど、味方だと頼もしい」
「………」
泣きそうな顔をしていたアエロは、とうとう本当に泣き出してしまった。
「なんで何も疑わずに味方だと言えるんですか。俺は酷いことをしたのに。理由があったって許されないことをしたのに。あなたから菊蛍を奪ったのに……」
「裏切るまでは味方だ。違うのか」
「クロ、世の中では恋人を奪われたら裏切りって言うんだよ」
「あの時は恋人でも家族でもなかった。蛍には他に愛人一杯いたし、あの時点では奪うも奪われるもないだろ」
「オト、たまにクロネ哲学についてけないなー」
なんで? 哲学ってかただの事実じゃん。
済んだことだから言えるってのはある。もしまだアエロが蛍の恋人だったら……自分から蛍の懐に入っていける度胸のない俺はどうしたんだ。黙って遠くから指くわえて見てたのか、それともアエロのように強硬手段に出たんだろうか。出られたんだろうか。
今の俺の自信は、蛍に愛されてる自信。自分由来じゃない。蛍がいるから。蛍のため。
まるで責任を蛍に押し付けてるみたいだ。
「アエロは偉いな」
しみじみ言うとアエロが不審そうに俺を見た。ハァ?と若干苛立ったような顔だ。
「全部、自分の責任に出来る。俺は蛍のせいにしなきゃ何も出来ない」
果たして蛍を失って生きる意味なんか俺にあるんだろうか。
それに比べてアエロは自分のために行動した。偉いことだ。俺には出来ない。
志摩王に背を強く叩かれた。
「いンだよお前はそれで、クロ。愛の重さだけ強いくらいで丁度いい。菊蛍のほうが絶対重いしな」
ああそれは……うん。過保護だからな。
さて、会戦のときが迫ってきた。いつにするかはクラミツに一任してある。俺の目と耳は敵のモニタだ。
デオルカン皇子に躾けられた通りに母艦数隻が宇宙をゆく。ちなみにフラッグシップはヨルムンガンド。双子皇子は二隻ヨルムを所持してるんで、一隻貸して貰った。そのうちウィッカ王軍の母艦も入手しなきゃな……志摩王経由あたりで。
ヤマトの方が若干心配だったが、驚いたことにコンロン星系がヤマト側についた。このことでブリタニアもヤマト側に参戦。宇宙は綺麗に二分された。
ロマでさえ二分割状態なんだから、ここまで綺麗な拮抗は宇宙史上初のことだろう。
「ビリよりアインに通達。敵主力艦隊確認。未確認のナンバーです」
「ガリア四〇五型に酷似していますが、メーカーには製造した形跡がありません。海賊版と推定されます」
「ん」
もうちょっと気の利いたこと言えりゃいいんだが、思いつかないんで「ん」。ヨルムの立派な管制室でずっとその調子。モニタリングされてる以上下手なこと言えないし。
オペレーターたちが機敏に働く様を見ながら、いつもはデオルカン皇子が座しているのであろう船長席で頬杖をついていた。
敵は仮想次元を閉じた空間から出てこない。アナログな通信手段でやりとりしてるようだ。これが想像以上に連携できてる。年季を感じる動きだな。クラミツの指示で艦隊を動かし揺さぶりをかけても、うまく避けて迎撃する陣形をとってくる。
もちろん、星に降りる素振りあらば威嚇を忘れない。非常に練度が高いようだ。
「ほんと、こんな連中いままで何処にいたんだ?」
「案外、テラにでもいたのでは」
「嘘だろ、テラってどんだけ離れてんだよ。いくらホークホールがあったって……」
「そのくらい離れた星に拠点があるのかもしれません。だからブリンク能力が発達したんじゃないかな」
クラミツの意見になるほど、と頷く。これ以上余計なことは言わない。
V字状の敵艦数隻から無数の戦闘機が出現する。
当然だが戦闘機を出したほうが身動きがとりづらくなり、連携もしにくくなる。向こうさんはアナログで広範囲機械感応持ちなんてのもいない。どう展開してくるのか……
「動きませんね」
完全迎撃体制らしい。
「こちら、星を盾にされているので下手に砲撃出来ません。むこうは兵站をブリンクで調達出来るので……」
「連絡手段もブリンカーが数人いれば事足りる」
「そうです。かなり兄上を徹底警戒してますね。こちらの強みはそれのみと言って過言ではないので」
烏合の衆の烏合の艦隊だからな。バッカニアや元海賊も混じってるせいで民間船が多く見える。
しかし、時間を稼げるというのはこちらにとっても美味しい。囚人兵の働きによっては一気に形勢逆転できる。
いや……籠城ってのはこっちにしか旨味がないな? なぜ打って出ないんだ。打って出れないのか、それとも待つことであちらも状況が変わるのか。
「まずい気がする。早めに叩かないと」
「同感です。タラーン戦の突撃を開始します。兄上、白状しますがこれほどの艦隊戦の指揮経験は初めてです。言い訳にしませんがベテランのようにはいかないことを承知してください」
「わかってる」
志摩にこんな艦隊あるわけない。クラミツ、敵海賊が艦隊組んできたとき浮足立って志摩王に尻拭いさせたとか。ちょっとテンパりやすい子なんだな。
父方の血筋かな!?
「タラーン隊z軸前方配備。ニードル戦闘機フォローに入れ」
ヨルムンガンドの腹からタラーン船とニードル戦闘機が出撃する。ヨルムは一隻ごとにハンガーとハッチがあって個別出撃が可能だ。そしてどの戦闘機も立派な兵装だよ……さすが脳軍皇子の船。シヴァロマ殿下でもここまで私軍に金をつぎ込んでないとか。
正直、戦力になるのはデオルカン殿下の私有戦艦くらい。あとのバッカニアや海賊は包囲網のために居るようなもん。
「電撃戦開始する。右翼z50にタラーン部隊アローヘッドで突撃! 敵船を削り取れ!!」
意識体をタラーンのアローに移す。おそらくはここで……
「各戦艦にブリンカーの出現確認! 処理に当たります」
来たな!
ナノマシン拡散で察知した出現位置を振り返りざま照準もつけずにエレックガンをぶっ放す。配備したツクモビルも通路側から麻酔針を射出。エレックやニードルだと誘撃危ないから。さすがのツクモビル、クルーには一切当てない。機材にはある程度仕方ない。
ブリンカーは巧みに点滅移動しながら俺の側までやってきた。背後を取られたんでヒヤっとしたが、クラミツが俺の頭上を撃ち抜いて対応してくれた。
「兄上は機械感応に集中してください! 命に替えても守ります」
嬉しいけど命には替えないでほしいかな、お兄ちゃんとしては。
「出来すぎる後継者も問題だ。後継者にはクヴァドがいればいい。貴様ら兄弟はここで死ぬがよい」
あーそー、それがあんたの本音。蛍が大事でロマの国を乗っ取りたい、だから俺たちは邪魔なわけだ。
それにしたってクヴァドくん舐めすぎじゃないか? あの子は俺たちより頭がいいし抜け目もないぞ。
「……惑星より入電! 受け入れを条件に仮想次元の復帰、全面降伏を申し出ております!」
「なにっ」
ブリンカーが一番驚いてる。裏切り者が出たのか。
「くっ―――しかし、蛍様は渡さぬぞ!」
「はあ!? まさか」
呼び止める間もなくブリンカーは姿を消した。これだからブリンカーってやつは!
「蛍が攫われる!」
「いいんじゃないですか」
何をのんきな、クラミツ! 睨みつけると肩を竦められた。
「あの人を拉致して無事でいられるのか見ものです。縄でゴリラを捕まえようって話ですよ」
あ……うん。あーうん。うん……
縄でゴリラは捕まえられない。ブリンクでさらえたとしても、蛍も縄じゃ捕らえられない……か?
「とはいえ、何処とも知れない惑星の施設に閉じ込められたら蛍だって分かんないだろ」
「あの人だけ捕まえたところであのブリンカーの得にしかならんでしょう。必ず何かしらの要求が来ます、その時を待ちましょう」
弟が頼もしくてお兄ちゃん嬉しい。俺一人だったら絶対に大慌てしてる。
復旧した仮想次元から鷹鶴から入電があった。管制室に顔モニタが映し出される。
『クロート! 蛍が連れ去られた』
「そうみたい。さっきまでここにブリンカーがいた。あいつは何?」
『たぶん幹部的存在。ボスではない。蛍に執着してる。蛍としか話さない。ほかが見えてないみたいだぜ。だから若手が不安になって裏切ったってわけだ。会ってやってくれ』
会ってやってくれってことは、何か見返りを要求してるわけじゃないんだな。
痩せた感じの浅黒い男が現れた。髪がギシギシと硬そうなのが印象的。
『お初にお目にかかります、ロマ王子ウィッカ王。暫定代表者のヌノマと申します』
何処の感じでもない名前だな……珍しい響き。強いて言えばオリエントかヤマトか?
『申し上げます。我々は騙されて此処に来ました』
「というと?」
『我々はロマ王に会って文化的交流を求めるとしか聞いておりません。艦隊で赴いたのも、これが住居だからです。ステルスしていったのは、我々が宇宙政府に存在を認められていないからです。
侵略だなんて話が違う! 一部の有力者が勝手にしたことなんです、信じてください』
事実なんだろうな。話しぶりからなんとなく分かる……これが演技なら凄いが。
皆に頼られるほど賢く知能は高いが、教養はない。権力もない。なんとか一生懸命、たどたどしくも意見を述べようとして背伸びしてる感じに親近感も湧く。
「貴君らの働きに免じて信じよう。我々はブリンカーとも対峙し、その真意をこの耳で聞いた」
『やつはなんと?』
「ロマ王以外どうでもいいってさ」
『なんてことだ。意味が分からない……』
理解に苦しむといった風に首を振るヌノマ。事情知らないと余計に訳わかんないよな。俺も分かんないけど。
あのブリンカーは蛍の薩摩時代の友人で、心の支えだったらしい。さぞかし美少年だったろう。そんな儚い薄幸の美少年を見て庇護欲をかきたてられても不思議じゃない。俺だってそんな蛍と出会ってたら、きっと執着する。
とはいえ、意にそまぬ誘拐をする訳はなんだ?
もう蛍は誰の助けも必要としていないのに。おまけに若くて活きのいいのが好きな助平親父なのに……あのブリンカー、軽く200歳近いはずだぞ、見た目からして。
「万策尽きて過去の妄執に縋りましたって感じなのか、それとも身柄と引き換えに政治に食い込ませろって腹なのか」
「どちらもかと。我々兄弟を殺害して王を戻し当初の計画に戻る……ような」
「で、貴君らは何者なのか?」
『隠し工場惑星などから救出されたロマです。解放軍……ということになるのでしょうか。所属はしている、はずですが実感はありません。生きる場所が他にないから従っていただけです。
こうしたロマが、開拓惑星を含め三十億人ほどいます』
「よく蛍に見つからなかったな! 皇軍やハイド、俺だって血眼で探してたんだぞ」
『我々がこのような生活を送るようになって何百年か、もしかすれば千年経過すると聞きます。今よりもっと酷い時代、息を潜め、弾圧から逃れてきたのです……』
ブリタニアスラムの連中のような存在もあれば、こういう存在もあるってことか。それにしたって凄い話だ。潜伏にかけては想像もしない技術があるんだろう。
そもそもあのブリンカー量産体制が尋常じゃねえよ。あんなんいるならそりゃ潜伏も工作も楽だわ。
『我々は遠い星系に居を構えています……ですが、星の子の問題もあり貧しい生活です。加えて教育体制も整っておらず、宇宙政府の仮想次元に接続も出来ないためソフトアーティファクトも乏しいです。
どうか我々を受け入れてください。一部は反発するかもしれませんが、喜んで従う者は多いはずです。一生懸命に働きます!』
「鷹鶴。彼らを受け入れる容量はあるのか」
『容量はある。でもまだ開拓途中だからきっついな。今いる人口に合わせて生産してる。彼らが侵略してきたんで増産はしてるが、急にン億人となると……』
「周辺に開拓可能な星は?」
『あるっちゃある。ただしガリア領。奪うなら戦争になるぜ』
「艦隊あるしせっかくだから侵略しようぜ」
『マジかクロート。思い切りがいいな!』
「ガリアは宇宙法を無視して皇帝についた。解放軍は皇帝と繋がってる。ならガリアを奪っても面目は立つ。クラライア皇帝はガリア出身、生家と分断すれば動きづらくなるはずだ」
『ほんとに頼もしくなっちゃって……わかったよ。でもヨルムは返さなきゃならないんだろ』
「そこはクレオディスに頑張ってもらう」
『ファー! 無茶ぶり! 咲也とクラミツ王子がいればなんとかなるかね? ただ空母はとにかく戦艦が足りねえよ!』
クレオディスもその場にいたらしく、鷹鶴のトーキーから口を挟んできた。
「残った解放軍の戦艦はどのくらいだ?」
『母艦一隻分ってことかしらね。戦争するにゃあ到底足りないよ」
「奪いながらってのは? まだガリアを攻めるなんて思われてないと思う。ロマは敵を制圧するのに精一杯だとたかを踏んでヤマトに出征している。
この勢いのまま近隣の星を電撃的に蹂躙し、軍艦を奪い、それを2、3繰り返す。数日内には結構な艦隊を組めるはずだ。ただし兵の疲労が心配だが……」
『考えるじゃん、チビ。お前はけっこう頭の回る子よね。
難しい賭けになるが、タラーン船のペイをぎりぎりまで捨てて兵を乗せる。交代で休息する形だな。残りの包囲用の民間船は補給部隊。兵站としては豪華よね。狙ったところでとてもじゃないけど落としきれない。
ただし、短時間で落とせない時には―――』
「タラーン船の資材が枯渇する」
『そのとおり。電撃的かつ失敗の許されない戦争だ。やるかい、大将』
「やるしかねえだろう」
『いいぜ、最高だお前。いつか言ったことを撤回するよ、お前はスペシャルだ』
いつか言ったこと? なんだそれ。悪口や煽りなら数えきれないほど聞いたから覚えてない。
不安なのは兵が大規模戦の勝利でナチュラルハイに陥ってることだった。更に国を持たず繁栄できないロマ・ウィッカプールがガリア星系を奪ると聞いて血気が盛んになってる。
そのテンションじゃ次の星に着くまでに力尽きてるぞ、おい。間違っても祝杯なんか上げないでくれよ……海賊にそんなこと言っても無駄か。
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