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《晴》
その話はそれでお終い、の筈だった。
相変わらず暇で、真っ直ぐ帰る気にもならず繁華街をブラブラ歩いていた時だった。
「おわっっ?!!」
急に真っ黒いモノが、俺の前を横切った!
「なんだ?猫……?」
店の中から飛び出した黒い猫が、通りの途中でニャアと鳴いた。
「びっくりしたー。
こら!驚かすんじゃない!」
猫は真っ直ぐに何か言ってる俺を見つめ、それから何でもなかったかのように座って毛繕いを始める。
「全くもう…。」
あーあ、これだから嫌いになれないんだよな、猫は。
うん。猫は嫌いじゃない。
先輩は健気な仔犬が好みなんだろーけど、俺は猫の自由気儘な所が好き。
なんて事思って見てたら、いきなりドンッとぶつかられる!
「え?!」
店の扉を開け放して、ぶつかって来たのはミルクティーグレージュの長めに伸びた髪。
少年?
その横顔を見た時、時が止まる。
______ 綺麗だ。
ただ……綺麗だった。
「ぁう…。」
真っ直ぐに猫目掛けて駆け寄って、その手に抱きしめ猫に向かってニコニコと笑った。
猫は嫌がる風でもなく、大人しく抱かれゴロゴロと喉を鳴らす。
「何してるのっ!
入って!さぁ!!」
店から女が出て来て、その子を引っ張って連れ戻す。
その子は引っ張られるままだ。
その手に抱かれてる猫が大きなあくびをし、その子が微笑むのと同時に
バタン!
と店の扉が閉まった。
一瞬の出来事。
何だったんだろう……
今の……
あれは、少年?
いや、少女か?
ダボダボのTシャツは膝上まである。
細い足は裸足で、その下は履いているのかわからない。
なんで______
なんで、綺麗だ、と思ったんだろ?
整った顔という訳でもない。
魅惑的、妖艶という訳でもない。
ただ、目が離せない。
うー
……わかんね……。
ま、もう会う事もないだろ。うん!
頭を振って、歩き出した。
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