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《晴》
店主がドアを開けた。
「お客さん、『子猫』はご満足頂けました?」
ジロリとズグを見て言う。
ズグは俺の方をじっと見てる。
ズグの頭を撫でながら言う。
「あー、すっごく満足!
ちゃんと躾も行き届いてる!
ゴックンも上手に出来たし、な?!」
その目を見て言うと、コクコク頷く。
店主は疑惑の目でズグを見てるが、ズグは俺の陰に隠れてしまう。
「……それは良かった。
おや、その袋は?!」
その子は手に持ってた飴の袋を、慌てて後ろ手に隠す。
「あー、俺があげたんだ。
上手に出来たご褒美、って。
良いだろ?ママさん?」
「……まぁ…。
ズグ!ちゃんと御礼言ったの?!」
慌てて俺にペコんと頭下げる。
「全くもうっ!」
あ、ヤバい。
怒られるパターンだ。
「ママさん、俺、ズグ気にいっちゃいました!
次来た時もズグでお願いしまーす。」
ニコニコして言えば、店主は何を物好きな、と言いたげな顔をした。
「まぁ、この子は遊び相手に指名する人いないからいつでもどうぞ。
またのご来店をお待ちしています。
お見送りして。」
いつの間に来たのか、用心棒にそう言う。
つまりは帰れ、と言う事だな。
仕方ない。
「うん、また来させてもらうよ。
ズグ、またな?」
頭を撫ぜて言うと、
行っちゃうの?とでも言いたげな何とも言えない顔をする。
うー、そんな顔しないでくれー…。
「仔猫と遊びたい時はいつでもどうぞ。
ほら!来るんだよ!」
「ぁウ………」
店主が強引にズグを引っ張って、別の部屋に行った。
2階に心残しながら、用心棒と一緒に階段を降りた。
降りてる途中で聞こえた。
「全く……このグズを気に入ったなんて酔狂な…。
ああ、そんな顔したって飯抜きだよ。
お客さん怒らせただろっ?
何?文句あるのっ?」
2.3発叩く音。
ズグの押し殺したような泣き声。
用心棒は知らんふりしてる。
堪らない。
2階に戻ろうとしたが、用心棒に睨まれる。
ここで迂闊な事をして、出入り禁止になっちゃいけない。
ごめんな?
すぐ来るからな?
ごめんな、ズグ……。
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