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《晴》
「なんだ、お前か?」
仕事帰り、コーチクの店の辺りをウロウロしてたけどズグは居ないんだよな、と気付き。
このまま帰っても、また眠れなくなりそうで先輩の家を訪ねた。
「なんだ、とはないっすよ、せんぱーい!」
「いや、今日も飛んで帰ったから……。」
玄関先でやり取りしてると、ひょこっと那月くんが顔を出した。
「晴さん!!久しぶりです!」
俺の顔を見て、パァッと笑顔になる。
可愛い。
「那月くん元気そうだね?!」
「はい!」
2人で盛り上がってると先輩が割って入った。
「まぁ上がれ。こんな所で盛り上がるな。」
「先輩ー、それってヤキモチですかー?」
先輩はムッとした顔で黙る。
「いいから早く上がれ!」
照れ隠しだ。
これだから先輩揶揄うのやめられない!
「今日はお客さん多くて嬉しいです!
どうぞ。」
那月くんがニコニコしてリビングの扉を開ける。
お客さん…って…?
ゲッ!
近藤が片手を上げて挨拶する。
何で近藤がいる?!
「まあまあ。
那月くんの後見人として様子を見なければならないだろ?」
俺のいやーな顔が面に出たのか、近藤がニヤッと笑って言った。
近藤は信用ならねー。
先輩にも那月くんにも、何で受けがいいのかわからない!
「どうぞ!
コーヒーとシナモンケーキです。」
那月くんがキッチンから出て来た。
「ありがとう!これお手製?」
那月くんが真っ赤になって頷く。
「上手く出来てるのかわからないんですけど……。」
「おいしいよ!」
形は少々不恰好だが味は絶品!
「ほら、言ったろ?」
先輩が那月くんに満足そうに言う。
「一時さんは僕の作るもの、焦がしたパイでも全部美味しいって言ってくれるから。」
焦って那月くんが弁解する。
「ごめんなさい、本当に美味しかったんですね。」
「謝るな。」
ぶっきらぼうに言って頭をコツンと叩く。
那月くんは嬉しそうに照れてる。
うっわ、アツアツ……。
近藤はと見ると首をすくめてる。
ちなみに近藤の前には、コーヒーしか置かれてない。
甘い物が嫌い、とでも言ったんだろ?
こんなに美味しいのに残念でしたーっ、だ!
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