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56 《近藤》
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《近藤》
「無国籍??」
「そ。」
晴は首を捻ってる。
分かりやすく説明してやるか。
「つまりは戸籍がないんだよ。
戸籍がないからパスポートも婚姻も
各種住民サービスも受けられない。
もちろん健保もない。」
「は??ダメじゃねーか、それ!」
「おまえの話だと、ズグは明らかに異国の血が混じってる、って言ってたな。
あるんだよ、そう言う事。」
「でも父親が居るって言ってた。」
「認知してないんだろうな。
父母ともどうでもいいと思っていそうだ。
そこにいるけどいない存在。
まぁ、あくまでも予測だけどな。」
明らかに晴が落ち込んだ。
「そんな……。
あ……でも店主のズグに対する態度が、そう考えれば……。」
奴の思い人は相当酷い目に遭ってるらしい。
プラムも言っていた。
『その子……はちょっと変わってて。
でもいい子なんです。
たまに見かけると、店の黒猫相手にニコニコしてて。
でも店が始まる前や後に、ママさんやボディガードに怒鳴られたり折檻されて泣いてる声をよく聞きます。」
プラムは痛々しそうに言った。
痛々しいのはプラムだって同じ。
辞めたいのに、借金にがんじがらめになって抜け出せない。
スクープ云々じゃなくて
売春の斡旋なんて許されるべきじゃ無い。
そりゃスクープになるんだったら、俺も金になる。
プラムも奴の思い人も解放されて万々歳。
本腰入れてやってみる価値はありそうだ。
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