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70 《晴》
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《晴》
散々揶揄われてから、近藤と先輩は帰って行った。
先輩は那月くんが気になって。
近藤はまた何か企んでるのかニヤニヤして。
ズグは2人きりになると、ウトウトと俺の横で疲れたのか眠ってしまった。
時間を大分過ぎてから、闇医者がやって来た。
「お待たせー。
近藤さんの紹介で来た医者もどきだよ!
患者は何処かなー?」
なんか想像してたのと違う?
まだ若い。
違法してる陰も、重みも無い。
「あー、想像してたのと違うよねー、よく言われる!
まぁ腕はそこそこだから安心してねー?」
「あ、失礼しました!
あんまりお若いので……。」
……心読んだ??
一瞬の沈黙を的確に見破る。
なかなかどうして曲者だ、この人。
「ほら、ズグ、起きろ?
お医者さんだよ?」
ソファで眠ってしまったズグを起こす。
「……あーー………?」
目を擦りながら起きて来て、見知らぬ人がいるのにビックリする。
「うーー……。」
ジタバタと俺の後ろに隠れてしまった。
「ほら、診てもらおう?」
前に押し出すのを必死で抵抗する。
「良いよー、知らない人が居て驚いちゃったんだ。
無理ない無理ない。
じゃあ君に聞こうかな?
あ、僕の事は先生でいいよ。」
ソファににこやかに座ってる。
「あ、よろしくお願いします!」
一礼してソファに座るとズグもピトとくっ付いて身を隠すように座り顔を俺の背に埋めてしまった。
「ズグー……。」
「うん、明らかに顔色良くないね。
頬も腫れてる。
足元もおぼつかない。
絞められた跡と手の擦過傷。
……君がやったの?」
ニコニコしてるが、一瞬目が鋭くなる。
「まさか!!」
「……だよね。
あんなにくっ付いて安心してるんだもん。
あ、詳しい事は聞かないよ。
他に何か……ありそうだよね?」
「ミミズ腫れと擦過傷とタバコの火を押し付けた跡が身体中に……
それと、下半身が……。」
改めて腹立って来た!
どうしてズグがそんなひでぇ目に遭う?
「うん、わかった。
えーとズグくん、こんにちは!
先生だよー。
お近付きの印に、はい!!」
ズグに近寄って、目の高さを合わせニコニコ言う。
ズグは俺と先生が喋ってるのを聞いて、流石に顔を埋めなくなって訝しそうに聞いていたが、差し出されたものを見て目を見開いた。
差し出されたのは、飴玉一つ。
「……ぁーー……?」
クイクイと俺の袖を引っ張る。
「お近付きの印だって!
ズグ、良かったなー。」
先生の顔チラッと見るが、受け取ろうとしない。
だよなぁ。
何でか、ズグは口に入れないとダメ。
「先生、口に入れてやって下さい。」
先生が口にアーンといって入れようとすると、口を閉じて拒否する。
でも飴が食べたくて、ゴクンと喉がなってる。
「ふぇ……」
「参ったなー、君から上げてくれるかな?」
俺が口に入れると、パクッと食べてバァッと笑顔になる。
「よっぽど信頼されてるんだ。」
笑顔で先生が言った。
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