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87 《晴》☆
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《晴》
「……ぁ……る!!」
え?
殴られながらスイを見る!
スイ……だよな?!
「ぁる!!
ぁる!!
ぁ……は……る
はる
はるっ!
はるーっっ!!」
スイが………スイが喋った!!!
俺の名前、喋った!!
店主に捕まえられてんのに、必死で俺の方へ行こうとする。
真っ赤な顔して
涙ポロポロ流して「はる」って……
「いつまで殴ってんの?
行くわよ?」
「チッ!!」
掴まれていた胸ぐらを離されて、床に落ちた。
「はる!!
はるっ!!」
「ウルセェなっ!!」
男がスイの鳩尾に一発喰らわす。
スイはグッタリと気絶した!
「スイを殴るなっ!スイ…うわっっ!!」
女が俺の口に布切れを押し込む。
「んーーっ!!んーーっ!!」
喋れない!!
スイっ!!!
男はグッタリしたスイの身体をスーツケースに入れ、ついでにつっかけも回収する。
「以後うちの店には関わるな!
今度来たらタダじゃ済まさないわよ?
警察に言ったら、マジでアンタの事殺すわよ?
ま、一応警察の中にも息の掛かった連中がいるんだから潰されて終わりだけど。
それとそんな事したら、ズグがどうなるか…わかってんでしょうね?
ソレが大事ならもう関わらない事!
いいわねっ?」
店主が去り際に言い、
用心棒とスーツケースの中のスイを持って出て行った。
スイ………!
必死で……
頭、持ち上げてたけど
…もう
限界……
床に伸びた。
頭、殴られたせいか
ボーーッとする
手も足も縛られてて……
スイが殴られそうになるのを止める為、用心棒を両足で一発蹴るのがやっとだった。
……無力だ……俺………
何やってんだ、俺は……
早く
早く何とかしねーと、スイが……
でも……
こうしてのたうち回るのが精一杯……
口塞がれて助けも呼べやし無い。
鼻血……気持ちわり……
口の中も切れてるなぁ……
スイ………
「はる!!」……って……呼んだ……
喋れたんだな。
俺の名前
呼んでくれた
はる……って
はは……
時々「ある」になるのは愛嬌だけど
でも喋ってくれた……
嬉しかったなぁ……
ほんとに……
嬉しかっ……た………
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