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93 《プラム》
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《プラム》
……地味な子供だった。
取り立てて優秀でもなくスポーツが出来る訳でもない。
ヤンチャしてる訳でも真面目すぎる訳でも無い。
ごく普通の子供。
普通の中学生になり、普通の高校生になる……筈だった。
男しか好きになれない、と気付くまでは。
中学時代、女の裸に興奮する!と言われても別に興奮しなかった。
むしろ男の裸の方に、ドキリとした。
ソワソワして、女を抱きたいというより男の人に抱かれたかった。
でもそんな事言えなくて、話を合わせるしかなかった。
一体、俺はどうしたんだろう?
自分が変なんだ、と思い込んで男に対する気持ちを無理矢理封印するしかなかった。
高校生になり大学受験の為予備校に行き、恋をした。
無論男の学生だった。
明るくて、誰にでも気の良い奴。
バレないようにしてたのに、男は何となく気配を感じたらしく
「何?お前、俺に惚れてんの?」
と言って来た。
いつもなら、冗談、って笑って誤魔化すのに、その時は思いがけない事言われたので、黙って真っ赤になってしまった。
それ程、その男が好きだった。
これでバレた。
翌日から噂は広まり、次第に予備校にも高校に足が遠のいた。
噂は親にも届き、親に問い詰められて家にも居場所が無くなった。
高校も辞めて引きこもり、親からは怒鳴られバイトに行けば、最初は良かったものの同じバイトの学生に噂を聞きつけられて辞める、その繰り返し。
良くあるパターン。
それが数年続いた。
そんな時SNSで知り合った男性から、コーチクの存在を知った。
男が好きでも構わず、その上お金を稼げる!
それに飛びついた。
中に入ってみれば、登録料で大金を取られ、部屋の使用料、斡旋料、その他何やかやと瞬く間に借金が増えた。
引き返そうにもヤクザが関わっている事を初めて知った。
休んだらペナルティとして金。
お客さんは仔猫に性的欲求の解消のみを求める。
仔猫の方も性的欲求が満たれればそれで良い、と思っている人は、まぁまぁ上手くやっていた。
………でも俺には無理で。
金で縛られて、働いてる時にあの人に会った。
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