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95 《プラム》
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《プラム》
あの人の悪友が出禁になったのは、店の噂で本当らしい事がわかった。
じゃあ
じゃあ、もしかしてあの言葉も?
プラムが一番良い……って言葉も本当……??
ダメだ!
淡い期待持ってもすぐ裏切られる。
嘘だと思っておいた方が良い。
それにズグは俺なんかにもニコニコしてくれる。
俺は自ら泥沼に飛び込んだけど、
言葉もわからないようなまだ少年のズグに、折檻したりする店主は、酷いと思う。
助けられるものなら助けたい。
俺は真面目だし目立った存在でもないからこういう時は便利だ。
お客さんへの奉仕が終わって、そうっと様子を見てみると、ちょうど用心棒がズグに折檻をして出て行った。
鍵は……掛けてない?
部屋を覗き込む。
物置きらしい部屋に、変わった髪の少年が声も立たずに泣いていた。
あちこちに痣と内出血がある。
「………大丈夫?」
涙に濡れた大きな目が開かれ、俺を見る。
「……あー……?」
「あ、怪しい者じゃないよ?君と同じ仔猫だよ?」
ズグは首を傾げる。
「えーと、ズグ、だよね?」
ズグはジッと俺を見ていたが、同じ裸で敵じゃないと納得するとブンブンと首を振った。
「え?違うの?
ズグ、だよね?」
「すい!」
誇らしげにそう言う。
「すい?」
ズグは、うんうんと嬉しそうに頷いた。
あれ?ズグはすい??なのか?
俺が悩んでいると、くいくいとすいが俺の腕を引っ張る。
「何?」
「ある、あーー??」
???何言ってる?
「ある?」
「ある!うー……は、る!!はる、あーー?」
「はる?
何の事??」
ズグは、俺の後ろを覗き込むが誰もいない。
「はる……あーー?」
キョロキョロと誰かを探してる。
はる、って人の名前??
「はるって人、探してるの?」
何処にもいないとわかって、ズグの目に涙が盛り上がる。
「ああ、泣かないで?
困ったな……。」
もしかして、悪友さんの名前が『はる』かも知れない。
俺が困っているのを見て、ズグが必死で涙を乾かそうと目をパシパシする。
良い子だなぁ。
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