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歪み 06※※
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俺がそんな行為をしていた合間にも、亜矢はナカを弄られる刺激によって辛そうに喘いでいた。
思っていたよりも早く、亜矢のスマホのバイブレーション音が鳴った。
通話ボタンを押すとすぐさまあいつの声が聞こえてきた。
『……亜矢ッ?どうし――』
「こんにちは。一ノ瀬結月さん」
一ノ瀬の言葉を遮って、余裕たっぷりに挨拶する。
『っ!お前っ……沙雪か?一体亜矢に、何を……』
あからさまな動揺が可笑しいくらいに心地良い。
「ねえ……一ノ瀬さん」
一息おいて俺は続けた。
「貴方の言ってたこと……亜矢は俺にしか反応しないって……あれ、嘘ですね」
『何言って……』
あいつが電話の向こうでハッと息を呑んだ。
俺の指が前立腺を掠めたのか、亜矢が大きな矯声を上げたからだ。
『亜矢と……何をしている……?』
平静を装っていたが、明らかにその声は怒りに満ちていた。
「何って、貴方が俺に見せてくれた事を、同じようにしているだけですよ」
俺は一ノ瀬に聞こえるように亜矢に呼びかけた。
「亜矢、欲しいだろ?おねだりしてみろよ」
一ノ瀬と通話をしていることなど、俺に背を向け快楽に堕ちている亜矢は知る由もない。
期待していたとおりの言葉が、その口から漏れた。
「して……ください」
「何を?」
「沙雪さんの……いれ、て……」
「名前」
「たか、ひろさんのが……欲しいですっ……」
歓喜に思わず笑みが溢れる。
「よくできた……亜矢」
スマホはわざと通話中のまま、亜矢の口元に放り投げた。
「ひ!っあぁ……っ!!」
高ぶって熱を帯びたモノで後ろから貫き、ドロドロに熱いナカを掻き混ぜながら、喘ぐ亜矢に問いかける。
「亜矢……俺のこと、好き?」
「ん……す、き……」
亜矢はこくこくと涙を散らせながら首を縦に振った。
「もう一度言って。好きだって」
「好き……!好き、だから、もっとっ……」
「もっと、何?」
「ナカ、気持ちよく、して……!」
いい気味だ。電話の向こうのあいつの顔を想像するだけで、ゾクゾクする……。
「お前が俺で達《い》くときの声、あいつに聞かせてやれよ」
細い体に覆い被さり、腰の動きを速めながら、もはや何を言っても聞こえていないであろう、亜矢の耳元でそっと囁いた。
――この半年、待っていた。亜矢が警戒を解くであろうその時まで。
ずっと聞きたかった。俺に感じて漏らす甘い声を。
ずっと見たかった。この貪欲に満ちた濡れる瞳を、理性の欠片もない乱れた姿を……。
* * *
この日、俺は初めて、亜矢のナカに自分の欲を吐き出した。
それは情事を始めてから一度も犯したことのない行為。
これまで守ってきた、亜矢と己に対する尊厳。
それを粉々に打ち砕くように、何度もソコを自分の体液で満たした。
意識を手放した亜矢をそっと横たえて、温めた濡れタオルで全身を丁寧に拭く。
細い両脚に手を伸ばした時、その間を伝う白濁の液が目に入った。
何故か押し寄せてくる、罪悪感と虚しさ。
どうしてこう、人間の心は矛盾しているのだろう。
壊したいほど好きなのに、いつまでも守りたかった自分がいる。
強引にでも手に入れたいと思うくせに、泣き顔だけは見たくなかった自分がいる。
……ああ、絶望したくなるほど、身勝手だ。
心を鎮めるように長く息を吐く。指先で柔らかな髪を梳いたあと、涙で濡れた頬に触れた。
――殴られるでも、汚い言葉で詰《なじ》られるでも、どんな罰であろうと受け入れる。だから。
「俺を怨んでくれ。……お願いだ……」
亜矢の心を支配できるのなら、どんな形でもいい。
亜矢に出会って、生まれて初めて恋というものを自覚した。
その時の感情はもう、歪んでしまったのだから――
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