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でもコイツ性能(スペック)だけはめちゃくちゃいいんだよな、と同僚が睨んでいると、朝倉が視線に気づいて、近寄って来る。
「…どうした、オレに見惚れていたか。」
(ちょいちょいムカつくネタ挟んでくるんですぅ~っ!!)
苛立ちにより一層の拍車がかかる宵宮だった。
「見惚れていたんじゃなくて…っ!!」
睨んでいた、と口にしかけ、宵宮の手が一人でに動いて言葉を封じた。自らの指の感触で、宵宮は我に返る。
(…いかん、いかん。いっつもこの調子でコイツとは口喧嘩がたえないんだった。今回、背に腹は代えられない。残業の手伝いを頼む身分なんだから、せめて大人しくしないと…っ!!)
悩んだ末、宵宮は恐る恐る同僚に訊く。
「…そのっ、朝倉は今、帰り??」
「ああ。帰るとこだけど。お前も一緒に帰りたいのか??」
こてん、と頭を寝かせる朝倉に同僚は喉まで競り上がってきた若干の苛立ちを必死に飲み下す。
「悪い、ちょっと…仕事手伝ってくんね??」
宵宮の視線が勝手に左右へと泳いでいく。
(くそ…っ。どの面下げてコイツにお願いすればいいのか、わかんね~…。)
同僚が戸惑っていると、朝倉が口を開く。
「…恋人、か??」
「へ!??」
思わず、素っ頓狂な声が出てしまった。急いで口元に手を遣る宵宮を見て、冷血漢と名高い男がスラスラと解説を始める。
「…さっき、デスクの下の隠れたところで携帯見て、ニヤニヤしていたから。」
(バレていた!!っつか、コイツ目ェいいな!?)
焦りつつ、三秒間ほど『う~んと』とか『え~っと…』とボカしていた男は、観念したようにカックンと頭を垂れた。
「…う、うん。恋人…。」
朝倉は顎に手を遣り、納得した風に繰り返し頷いている。
「なるほどな。明日有給とってんだったら、デートの約束か何かだろう。」
「う、うん。デート…。」
続けざまに図星を言い当てられて、見る見る内に宵宮は赤面していく。流石の朝倉も、同僚の恋人が男とまではわかっていないようだが、何だか全てを見透かされているようで居心地が悪い。
「…ふむ。恋人、か。」
朝倉は小さくニッと笑ったかと思えば、同僚に向き直る。
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