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「・ ・ ・。」
二人して深い深い溜息をつく。三秒後。
「なんでお前開いた時にバーのとこに目がいかなかったんだよ!!データぶっ飛んでいるとか嘘八百じゃねぇか、手伝って損したわ!!」
「それはお前も人のこと言えないだろ!!今頃気づくな、一生わかんないフリしていてくれ、この野郎!!」
胸倉を、ネクタイを引っ張り、二人きりのオフィスでぎゃあぎゃあ言い合う雪男とウサギなのだった…。
発掘された書式に数字を入力し、完成した書類を提出する。諸々片付けや帰宅する準備で、結局二人が会社の自動ドアを潜り抜けたのは、午後八時半前だった。
桜が咲き誇る、美しい木々を抜けて、二人の足は駅へ向かう。一緒の…宵宮の家へと向かう電車に飛び乗ると、珍しいくらいがらりと空いていた。二人は横に並んで、席に腰掛ける。一両に手で数えられるくらいの人数しか乗客が見当たらない。
「…。」
何を喋るでもなく、電車に身体を揺すられ、静かな時間だけが過ぎていく。宵宮は、不安半分、期待半分の気持ちを持て余しながら、車窓の外を眺めていた。…すると、不意に宵宮の手に誰かが触れた。
「…??」
見るとそれは、朝倉の片腕だった。そぅっと伸びてきた片手はやがて、意を決したかの如く、宵宮の手に重ねられ…ぎゅっと包み込んだ。手を握られた宵宮は、咄嗟に周りを気にして、キョロキョロと車内を見渡す。が、朝倉は二人の手の前に自身革鞄を置いていて、雪男とウサギの変化に気づいている者は誰もいないようだった。
(あぁ~、もう、朝倉の奴!!バレたらどうすんだよ!!)
見る見る内に頬へと熱が集まっていくのを感じつつ、宵宮は素知らぬフリを続けようと車窓に再び視線を投じる。
(…夜の、街の風景…。…朝倉の手、やっぱり大きくて広くて温かいな。でも、何かいつもより体温が高いような…??朝倉くらいの男でも、こういう慣れてない状況にはドキドキするんだろうか。)
が、車窓の外そっちのけで、宵宮の思考はグルグルと滑車のように高速で回りだす。
(…僕、これから、この手に触れられるんだ。…一体、どんな感じなんだろう。優しい??それとも、粘着質??ゆっくり??激しい??組み敷かれて、緩急つけられて言いように喘がされるのかな…??…相手は朝倉なんだから、恋愛経験でいったら僕よりはるかに上だよね。…ベッド上での相手の扱いはテクニシャンとか可能性がない話ではないよな…。)
瞬間、宵宮はハッと息をのむ。
(どうしよう!!僕、最中に“反応が楽しくない”とかやめられたら…っ!!)
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