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「こォ~んなに人いっぱいいるってのに、美月チャンったら、すっかり欲情しちゃって…。すっごくえっちだね…??」
「ぁへのへいやほ…っ!!(訳:誰の所為だと…)」
ギッと睨んでくる獲物を恋しく思い、獣は無慈悲に彼の耳元で告げた。
「…そっか。じゃあ、美月チャンの家に辿り着くまであと二駅。頑張ってネ??」
「~…っ!!」
獣は再び、獲物の食事に没頭し始める。宵宮は観念したのか。扉に両手をついて、声を押し殺しつつ、獣から与えられる悦楽を一心に受けながら、目的の駅に着くまで容赦なく愛され続けるのだった…。
もう二度と開かないんじゃないか、と宵宮が絶望するほど長く閉まっていたドアが動いた時。宵宮は、全身から脱力しそうになった。何とか身体を立て直し、電車の外に出る。駅のホームに一人下り立って、初めて気がつく。
「あれ…??朝倉??」
振り返ると、朝倉はまだ車内に残っていた。
「早く下りてこいよ。」
宵宮が小首を傾げつつ言うと、獣は小さく微笑んで、片腕を伸ばしてくる。
「…よく我慢出来ました。」
信じられないほど甘い声で告げられ、伸ばされたその腕は宵宮の頭を柔らかく撫でた。くすぐったがりつつ、宵宮は不思議に思う。
「えっと…。僕の家に行くんじゃないの??」
「オレ、今日はこのまま帰るから。」
「へ??」
獲物は間抜けな声をあげてしまい、急いで口元を覆い隠す。が、時すでに遅し。彼の様子を眺めていた朝倉は楽しそうに腹を抱えて笑っていた。
「きょ…っ、今日はここまで??」
不安そうに呟いてしまった獲物を見かねてか。朝倉が答える。
「…大丈夫。お前を熱くさせた責任は、後でオレがきちんととるから。」
朝倉が指さしたのは、まだ興奮冷めやらぬ獲物の下半身だ。慌てて前傾姿勢になりつつ、宵宮は必死に大声で叫ぶ。
「指をさすな、指を~~~っ!!」
宵宮の叫びが、すっかり夜色に様変わりした空に谺していく…。
十五分後。家に帰りついた宵宮は、手洗いを済ませ、スーツ姿のまま、寝室のベッドに大の字で寝転がっていた。手元には…朝倉が貸してくれた上着がある。
宵宮はきちんと畳んだ上着を手に、これが朝倉の上着…、ごくりと生唾を飲み込んだ。
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