アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
64
-
「その…今まで通り“レッスン”を続けるなら、サイズが似たお皿を二つ欲しいなって…。お前の分と僕の分。」
ちらり、と獲物が横目で朝倉を見ると、彼は愉快そうに口角を吊り上げている。
「な…、何だよ…っ」
「そういう口実で、オレとデートしたいんだ??」
「はァ!??」
一声叫んだ宵宮は、憤った様子でその場から立ち上がる。
「どッ、どういうオメデタイ頭をしてんだよ、お前はっ!!べ…っ、別にそういう意味じゃないから!!ごめん、忘れて!!今のナシ、なしだから!!」
その場からいそいそと立ち去ろうとする宵宮の背に、獣がからかう。
「へぇ。…図星つかれて逃げるんだ??」
宵宮は不意に立ち止まり、数秒躊躇っていたが、くるりと獣の方を振り返ると全身の毛を逆立てるようにして威嚇してくる。
「言ってろ!!の、飲み物買ってくるだけだ!!」
再び踵を返す宵宮に、獣は容赦ない。
「デート、楽しみにしているな??」
「だから、デートじゃねぇぇぇッ!!」
獲物の咆哮が、会社の屋上にわんわんと谺した…。
宵宮の足音が遠くなったのを耳で聞き、目で辺りを十分すぎるほど探った後で、獣は深く俯きながらぼそりと呟く。
「そうだ…。その調子だ。…もっともっと、堕ちてこい。」
がばりと、顔を上げて朝倉は空を睨みつけるようにして鋭く言い放つ。
「オレの腕の中まで、堕ちてくるんだ。…宵宮。」
ギラギラと照り輝く太陽は、何も言わず、朝倉を見下ろすばかりだった。
仕事終わり。二人はいつもの駅から二駅前で降りて、近くのデパートに向かった。平日だというのに、デパートの人気は多く、ぼうっとしていたら通行人とぶつかってしまいそうな混み具合だ。
(デートじゃない、デートじゃない!!これはちょっとした買い物!!デートじゃない!!)
宵宮がカゴを持って念じていると、獣が相手の肩に肘を置いて話しかけてくる。
「美月チャン、これとかどうだ??」
「え??」
朝倉が持ってきた箱には、薄ピンクと青の茶碗の写真が描かれている。
(…って。)
「夫婦茶碗買いに来たんじゃねぇよ!!」
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 80