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二人でデパートに行った翌週の月曜早朝。宵宮は一人乗り込んだエレベーター内で、深々と溜息をついていた。
「…僕は、僕はなんてことを…。」
脳裏に過るのは、先週の金曜の出来事だ。朝倉への気持ちを自覚したウサギは後先考えず告白してしまった。
『僕は、…朝倉が好きだ!!』
『よ、宵宮…??』
吃驚している相手を見て、宵宮も我に返る。大声をあげてしまったので、周辺からの視線も集中しているし、それに何より…朝倉の返事が急に怖くなった。
“セフレって約束だっただろ。本気で好きになるなんて聞いてない。”
告白を断られたら、セフレの契約まで解除されてしまったら、と考えたら自然と身体が動いていた。慌てて荷物を抱え込み、朝倉に軽く一礼する。
『…あ、あ~!!僕、急用あったの思い出したわ~!!…じゃっ、お先に!!』
「…って、何が“お先に”だよぉぉぉっ!!次に朝倉と会ったら、僕はどんな顔すればいいやら…。」
頭を抱えて叫ぶ宵宮だったが、エレベーターが目当てでない階で止まり、鉄扉が開いた時にはいつもの笑顔に早着替えしていた。
乗り込んできた相手は、男一人だったが、彼は宵宮を見て素っ頓狂な声を上げた。
「あれ??誰かと思えば、お前もしかして宵宮??」
宵宮も男を見返す。若干焦がした肌。肩まで伸ばした黒髪。全体的に凛々しい顔立ち…。着ていたスーツが、ラフな普段着に見えた瞬間、宵宮は歓喜の声をあげていた。
「うっそ、大川じゃん!!」
二人は再開の興奮を表す様に、無駄に互いの肩や背をバンバンと軽く叩き合う。
「え!?え!?大川、久しぶり~!!いつぶりだっけ??」
「宵宮、元気してたか~??大学の卒業式…じゃなかった、その後の卒業旅行以来??うっわぁ、なっつ!!」
「え??っつか、何でこの会社いんの??」
大川が、ああ、と呟いて、にやりと笑う。大川の笑みを見た宵宮も、釣られて微笑んでしまう。…まるで、大学時代にタイムスリップしたかのようだった。
「ここ、俺が働いている会社の取引先の一つでさ。今月から担当、俺になったの。」
「え!??え!??マジでッ!?…じゃあ、これからはちょくちょく会えるかもってこと??」
「おう!!早速今日の仕事終わりとか、時間帯合わせて飲み行かね??」
大きく頷く大川に、宵宮は喜びを表すかの如くその場でぴょんぴょんジャンプした。
「ええ~っ。ちょっ…、うれしィ~っ!!んじゃあ、来いっ!!」
宵宮が腕を広げると、当時の悪ノリを思い出したらしい大川がハグしてくる。
「お前、変わってねぇなぁ!!」
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