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キツネは、ははっ、と小馬鹿にしたようにウサギを見下ろして笑った。
「本当に馬鹿な人ですね、あなたは。最初っから、そうすりゃいいんですよ。…じゃあ、アタシはのぉ~んびり席で待たせてもらいましょうかね。」
キツネはようやく宵宮の席から離れようとして…初めてギャラリーの多さに気が付いたらしい。
「…おやおや、暇人どもが群れていますねぇ~。」
ニコニコしながら猛毒を吐きつつ、刺すような視線をちっとも気にせず、自身のオフィスへと帰っていく天原だった。
結局十分ほどで、宵宮は領収書を見つけた。超特急でキツネに渡しに行ったのはもちろん、その後も口から鮮血吐き出しそうになるまで天原にこき下ろされたが、何とか耐えた。
昼休み。宵宮がいつもの場所に座ってぼんやりしていると、急に影が被さってきた。何だろうと思った、矢先。いつの間にかそばに来ていた朝倉に胸元を掴み上げられ、噛みつくようなキスをされていた。
「ん…っ。んぅ…。あさ、んふ…っ」
名前を呼んで止めるよう獲物が言おうとしたら、僅かに空いた上下の唇の隙間からぬるりと冷たくねっとりとした朝倉の舌が侵入してきた。激しく口腔を蹂躙され、酸素を一気に奪われる。朝倉の燃えるような激情の双眸に、吸い込まれそうになる。
「んっ…んうううっ!!」
やっとのことで、宵宮は獣を自身から引っ剥がす。互いに荒い呼吸を繰り返した後で、獲物は叫んだ。
「ここじゃやんないって言っただろ!!」
「美月チャンが好きなんだッ!!」
獣の咆哮に、宵宮はついていけず一瞬キョトンとする。
獣はそんな獲物を包み込むように抱き締め、相手の肩口に顔を埋める。甘えるように、細い声を出した。
「…最初っから、全部嘘なんだよ…。ずっと前から美月チャンのこと大好きで、少しでも美月チャンに近づきたくて…。セックスの回数重ねれば早漏治るとか口から出まかせだし。」
「はァァァ!?…え??今なんつった、お前…??」
獣同様、混乱する獲物だった。
「一時でも抱けたら満足だろうと思っていたのに、弁当作ってくれるとか。お昼一緒に食べてくれるとか。オレが女に口説かれていたら妬いてくれるし、ベッドの中でもめちゃくちゃ可愛くて…。そんなの、身も心も欲しいって思うのが人として当然じゃね??」
「ちょ、待って待って!!朝倉、こっち情報過多だから!!」
獲物があわあわと両手を左右に振る。そんな獲物の肩口から顔を上げて、獣は声をあげた。
「…好き。大好きだよ、美月チャン。」
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