アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
手芸部へようこそ!!
-
春と夏の間のような時期に、三年生四人、二年生二人、合計六人の手芸部へ、一年生が一人やって来た。
「あの、入部したいんですけど」
入部希望とやらの一年生が、ドアからひょこっと顔を出してゆっくりと喋り出した。
俺たち手芸部にしては、新入部員は嬉しき存在。なんせ六人という少なさ。
うちの学校は部員数三名を達していないと廃部になってしまうので、このまま三年生の先輩方が卒業しても一応廃部にはならないという安堵する気持ちもあった。
途中で退部されたら話は別だけど。
「わぁ!!手芸部へようこそ一年生くん!!名前はなんて言うの!?私部長のちえ!!よろしくねぇ!!」
「えっ、えぇっと……」
部長はすぐに入部希望の一年生にがっついた。まぁ、わかっていたこと。俺もあれやられたし。
「ちえ、あんまりがっつかないの。」
三年生のさゆり先輩だ。
「なんでよぉ、さゆりも嬉しいんでしょ?」
ニヤニヤしながら部長がさゆり先輩に問いかけている。
さゆり先輩はなんでよと、少し頬を赤くしながら部長の背中を軽く叩いた。
「でも、さゆりよりも光(コウ)くんの方が嬉しいんじゃない?」
「え?俺ですか?」
「うん。だって、手芸部って男の子今まで光くんだけだったでしょ?」
確かに。そう考えると嬉しいかも。
「……そうっすね。」
嬉しい気持ちはある。でも何だか照れくさくて、無愛想に返事をしてしまった。
「あ、じゃあ、光は今日この後予定ある?」
「ないですけど、どうしました?」
「予定無いなら、一年生の事任せても良い?ゆりちゃんは今日委員会で忙しいし、私ら部活組の三年は調査テストに向けてそろそろ帰らないとだし。」
ゆりとは俺の同級生兼手芸部の大切なメンバーだ。
それにしてもさゆり先輩はちょっとした難題を押し付けてくる。任せられたって何をすればいいのかがさっぱりだ。
でもほんとに予定は無いしと思ったので引き受けることにした。
「よろしく。君、名前は?」
入部希望の一年生に話しかけると、少しキョロキョロしながら答えた。
「えっ、と…暁美(アケビ)、暁美凛音(リン)です…」
「暁美くんね。よろしく。んー…じゃあまず入部届け書く?」
「は、はい、お願いします。」
会話してる感じ、悪い奴じゃなさそうだけど人見知りって感じがある。
「それじゃあここにクラスと名前と手書きでいいからサインと…」
よく見ると一年生の暁美くんは結構綺麗な顔をしている
全体的に長い髪と眼鏡のせいで顔があまり見えないけど、ちゃんとすればモテそう。
「……ぱい。先輩。」
「え、あ、ごめん、どうした?」
「書けました。これで大丈夫ですか…?」
「うん。大丈夫。てか、暁美くん字綺麗だね…?」
「え、そ、そうですか…?ありがとうございます…」
ほんとに綺麗な字だ。俺の中で字が綺麗な奴は器用な奴が多いい事になっている。だから暁美くんは手芸部に合ってるきがした。
「入部届け、俺が顧問に出してくるからちょっと待ってて。座っていいから。」
俺が入部届けを出しに行こうとすると、三年生の先輩達は帰る支度をしていた。戻ってきた時には多分俺と暁美くん二人だろう。
二階にある職員室まで下がって、最低限の会話を済ませてさっさと戻った。
案の定残っていたのは暁美くん、あと俺
「お待たせ」
「あ、いえ全然!は、はやかった、ですね…」
やっぱり喋る時キョロキョロするよなこいつ。好きな人相手にしたら喋れなさそう
「とりあえず道具の場所とか、あ、後で予定表コピーしてくるからそれも渡すよ。」
「あ、あの!」
「えっ、な、どした?」
いきなり大きい声を出されてついびっくりしてしまった。
もしかしてやっぱ手芸部辞めるとか?嘘だろ。秒すぎる。
「えっとその、あの……」
何なんだ。焦らさないでくれ。辞める?辞めるのか?
「先輩ってす、好きな人とか、いるんですか……?」
「え?」
「あ、ご、ごめんなさい!いきなり!そのえっと……」
「いないけど…」
「そ、そうなんですか!えっと、ありがとうございます…!」
はぁ。と心の中で大きなため息をついた。辞めるって言い出すのかと思って冷や汗をかいた。心臓に悪い。
「あの、先輩。」
「ん?どうした?」
え、やっぱ辞める?なんか怖いって…
「俺、先輩の事好きですよ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 17