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急だよ!!
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時々こちらの様子を伺うようにして、プリンを口へ運ぶ。
その仕草を暁美くんは何度か繰り返している内に、プリンの半分を平らげた。
「あ、ありがとうございます…美味しかったっ、です…!」
「うん、良かった」
じゃあ俺も……
ピンポーン
「あ、俺…出ますよ」
「え、そんな。悪いよ」
「せ、先輩は休んでてくださいっ」
なにか荷物でも届いたのだろうか。
「…わかった、ありがとう。宅配だったら、玄関に置いてある箱の中に判子があるから。」
「分かりました」
それにしても何か頼んでただろうか。
両親はあまり通販を使わないし。
でも二回くらい使ってたっけ。
いややっぱり某テレビ局の集金か…?
「光ーーー!!!」
「せ、先輩!?」
「えっ、レキ!?」
暁美くんが持ってた袋の二倍くらいあるサイズの袋を両手に持ってレキが入ってくる。
「お前熱大丈夫か!?さゆりから聞いたよ!!」
呼び捨て…?
いやいや!それよりも……
「急だよ!!」
「えっ?」
「お見舞い…来てくれたの?は、ありがとうだけど…連絡くらいしてくれても…」
暁美くんもびっくりし過ぎて目見開いてキョロキョロしてる。
「いや、連絡つっても…俺光の連絡先ないし。」
あー。そう言えばこの前来た時は引越しの作業があるってすぐ帰っちゃったから…
「そう言えば、そうだな。ごめん、今交換できる?」
「うん、だいじょーぶー」
「せ、先輩、あの…」
「ん?」
「俺、リビング…戻ってます、ね。」
気を使ってくれているのだろうか?
ちょっと気まずいのだろうか。
正直そこはなんでも良いけど…
「あ、うん。分かった。」
「そう言えば暁美くんってお前と仲良いんだなあ」
ビクッ
「え、そ、そうかなあ?普通だと思うけど?」
「いやー、俺も今日手芸部入ったんだけどさ。」
「え?」
「部室行ったらもう暁美くん大騒ぎしてて」
それよりレキが手芸部入ったことの方が俺的には驚きなんだが!?
そんな俺を気にする様子もなく、レキは話を続けた。
「部長とかさゆりに夏明先輩は!?って聞きまくって。」
「あ…」
名前。
「体調不良で欠席って聞いたら更に騒ぎ出してさー。」
レキが手芸部入ったことの方が驚きだけど、暁美くんの話も驚きだ。
「ついでに俺も騒ぎ出してやったわ!」
「お前は何をしてるんだ…」
はははと白い歯を剥き出しにしながらレキは笑う。
「そういえば。暁美くんて、この前俺が光の家来た時もいなかったか?」
「え、見えてたの?」
「帰ろうとした時にな。ドアからひょこっと顔出してんの見えてさ。初めは誰かなあって思ってたんだけど」
なんであの一瞬で顔覚えられるんだよ…
一度見たら何となくわかるものなのか?
「あ、やべ!俺アイスとか買ってきてたんだよ!溶ける溶ける!」
「アイスって…」
「冷凍庫入れさせて!ちょ、入るぞ!」
「え、良いけど…」
家来るのも騒ぎ出すのも全部
急だよ!!
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