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My first girl friend・・・・7
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おかしな話だ。
今までボクはセックスの為だけに知らない男の子を家にあげたことはあっても、友達を招いたことなんてなかったんだから。
それも「まゆ」のお友達だ。女の子の友達。
ボクが入れたミルクティのカップを両手で持って、かれんちゃんは物珍しそうに部屋の中を見回している。
ママの遺した古いマンションだ。
ママの趣味のアンティークな家具や照明、ほこりを被ったドライフラワー、古ぼけたテディベア、あらためてボクって取り残された子供なんだと思った。
でも、かれんちゃんは、この部屋を素敵だと言った。
「すっごく趣味が良かったんだね、まゆちゃんのママ」
「……そう?どうかな……いい加減古いもの片付けて、可愛くしたいなとは思うんだけど」
「ううん、素敵。なんていうのかな、ストーリーがあるよ、このお部屋」
たしかに、ここにはママの人生の物語が詰まっている。
ママが好きだったもの。ママが捨てられなかったもの。ママの本当とママの嘘が詰まっている。
「ママの幽霊みたいな部屋だよ……」
ボクはボソッとつぶやいてしまった。
中3の時、ママが死んだことは前に話していた。それからずっと一人で暮らしてることも。
もしかれんちゃんが、どんなママだったの?なんて聞いてきたら、どこまで話そうか。綺麗なママの物語だけ話せばいいんだろうけど。
「ママの写真ある?」
かれんちゃんに言われて、ボクはすっかり物置となっているグランドピアノの上に並んだ写真立てを指した。
まだ若い、綺麗な頃のママ。赤ちゃんを抱いたママ。
かれんちゃんはピアノの前に立ち、それを手に取りじっと見た。
「これ、まゆちゃん?」
「うん」
「ふうん……」
テーブルの上のかれんちゃんのティーカップに、あたたかいミルクティを継ぎ足しながらボクはつぶやいた。
「まゆって名前は、ママが呼んでくれた名前なの……」
そうなんだ、と優しい声がした。そしてかれんちゃんは話し始めた。
「あたし、赤ちゃんの時の写真ってないんだ。施設にいたから」
かれんちゃんは中学を卒業するまで養護施設で育った。
両親のことは何も知らない。
施設を出てからは、東京に出て、アパートを借りてボクと同じく一人暮らし。
青果市場でバイトしながら通信制の高校に行きつつ、最初はウリ専にいたらしい。
「子供の時から男の相手してたから、それが仕事になるんなら全然抵抗なかったんだ。市場の仕事、早起きも力仕事も、大人に怒鳴られるのも嫌だったから。できればウリだけでお金貯めたいなあって。でもさ〜、リスクのわりに色々見合わないんだよねウリ専って」
「それにあたし、ゲイじゃないもん」
そう言ってかれんちゃんは、ちょっと上目遣いで不安そうにボクを見た。
「……わかる?」
ボクはかれんちゃんをみつめて頷いた。
わかるよ、だってかれんちゃんは女の子なんだもの。
頷いたボクに、ホッとしたようにかれんちゃんが笑った。
そんなかれんちゃんのきれいなきれいな大きな目をみてたら、ボクの眼からボロボロ涙がこぼれてきてしまった。
「え!うそっ!どうして?どうして泣いちゃうの?」
わかんない。わかんないけど、わかるんだ。
これはかれんちゃんの涙だよ。
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