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第3話 『番に憧れてますがなにか?』 01
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オメガバース。
絶対リーダー、圧倒的才能を持つα。
もっとも人口の多い一般人であるβ。
生まれ持った能力が低く、社会的地位も低い絶対少数のΩ。
αとΩは、男同士であってもαが発情期中のΩの首筋を噛むことで番といういわば人生の伴侶になることができる。
さらには、Ωであれば男でも妊娠が可能ということもあり、BLの世界で最近よく使われ始めた設定である。
ちなみに、俺も大好きだ。
いやぁ、だって!
男同士でも結婚できる世界だし、必然とα×Ωが多いからスパダリ攻めが多いわけでして。
Ωの受けが可哀想なことも多いんだけど、αの攻めが全身全霊で受けを守り抜くっていうのが俺のツボ!!
それに子どもも可愛いし。
ぱたんと、読んでいたオメガバースの漫画を閉じて幸せをかみしめる。
切なさと甘さを含んだオメガバースは俺のお気に入りなので、本棚にも急増中である。
やっぱりBLは無限の可能性を秘めている!
俺の部屋によく来る尋人も最近では暇なときに俺の持つBL本を読んでいるが、オメガバースを気に入ってくれたようでよく読んでいる。
まぁ、俺のようにニヤニヤして読んでいるわけではなく涼しい顔して読んでるから、尋人が腐ったのかどうかは不明なところだ。
腐男子カップルでおなじみの千種くんと西島さんも楽しそうだし、彼氏と萌え語りというのもなかなかいいものである。
尋人も腐ったら楽しそうだけど、まぁ腐らなくても俺の話聞いてくれてるし……。
それに、受けっ子に萌えてる姿を見たくないと言うか、なんと言うか。
もやもやと考え込んでいると、いつの間にか傍に来ていた尋人から抱え上げられた。
パサリと呼んでいた漫画が音を立てて床に落ちてしまった。
「うわっ」
急な浮遊感に驚いているうちに、ふわりとおろされた先は柔らかな感触。
これは、ベッドだね。
俺をおろしたあとから、俺に跨ってくる尋人。
「ちょ…っ急に……ん…」
抵抗しようとした俺を抑えるように上からキスをされて、後はもう流されるがまま。
口腔を暴れる尋人の舌に翻弄されているうちに、服がスルスルと脱がされていき、気づけば少し体温の低い尋人の手が這っていた。
「だめ?」
俺の体を変わらず撫でながら、甘えたみたいな声を出すのはずるい。
尋人に慣らされた体はすぐに火照るし、体だけじゃないと思い知った今、大好きな尋人に求められることが嫌なわけがないのだから。
何も言い返せない俺の意を汲んだのか、尋人はにやりといやらしく笑んだ。
「ばか。……あ、ぅ…」
「可愛い、藍。」
尋人の首に腕を回せば、俺の首筋に口づけ、薄い痕の残した痛みを与えてきた。
あとはもう、俺は乱されるしかないわけでして。
ーーーーーーー
ーーーーー
漏れる息遣い。
揺さぶられる視界。
お互いの高まった体温が触れ合うのがたまらなく心地よい。
「あ…はっ」
「藍…藍……」
いつもは顔を見ながらしたいとか言って、向かい合ってするのだけど、なぜか今日はうつぶせのまま背後から突かれている。
それに、いつもよりもゆっくりで何とももどかしい。
ーー顔見るの、嫌になっちゃったのかな。
尋人から触って来たくせに。
不安も不満も湧き上がってくるのに、ぐっとのみこんで喘ぎ声だけを漏らすしかないのは、前の名残なのかもしれない。
それでも焦れったくて、求めたくて……。
上半身だけそらして尋人の顔に手を伸ばす。
手に緩く力を籠めれば、抵抗もせず俺の唇まで尋人のそれを近づけてくれた。
「ひ、ろ…っ」
「可愛い、藍!」
「あぁ…!ふ、んんっ」
唇同士がくっつく寸前。
急に強く突き上げてきた尋人に、思わず高い声が上がった。
しかしその声もすぐ尋人に食べられてしまって、新たな快感に変えられていく。
少し無理をした態勢で突き上げられることで、いつもと違った場所を抉られる。
慣れない感覚は、それでも快楽につながっていった。
以前は、尋人に快感を得てもらうだけのえっちばかりだったのだけど、お互いの気持ちを確認し合ってからは、尋人の愛撫がねちっこくなった。
体中撫でられて、キスされて、確実に俺に快感を与えてくる愛撫。
「あっあっ…んん!」
「藍、藍。ふっ」
「いっ!?」
後ろで尋人の息を詰める音に、終わりが近いと思ったそのとき、首筋に走った痛み。
その後間もなく中に熱を感じた。
「はぁ……」
「いったぁ…なに?」
恍惚としたような息を吐きながら俺の首筋をを撫でる尋人。
「俺らも番になれればいいのにな。」
チラリと視界に映るのは、床に落ちた漫画。
あー、なるほど。
最近尋人がオメガの漫画を読んでたのは、もしかしたら男同士の恋愛に興味が出たというのではなく、オメガの番に憧れていたのかもしれない。
「番になったら、藍がどっかに行くなんて思わなくて済むのに。」
「ふふっそうだねぇ。尋人の子ども産めたら嬉しいね。」
「藍との子どもなら欲しいけど、藍とられるのは嫌だなぁ。」
戯れるように俺の首に何度もキスしながら、そんなことを言う尋人。
そっかぁ。
子どもに嫉妬するほど俺のこと好きなのか。
そう思うと愛しさから胸がきゅーっとする。
オメガなんてファンタジーだけど、尋人と永遠を誓えたらいいのに。
尋人の手のひらにすり寄りながらそんなことを思った。
~Fin~
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