アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
助けが来ないならば、仕方ない。
一介の清掃員にあるまじき体術でなんとか逃げ出し、通信を試みるも、とんと返事がない。壊れたのか? 高熱に浮かされたときみたく、頭痛とふわふわとした心地のまま、本部に戻ると、ようやく原因がわかった。
敵襲。
デスクがこんなにバタついているのを、おれは初めて見た。ひりついた危機感をおれも共有したいけど、この身体じゃ無理だ。銃を携行したシャーロットをむこうに見つけて、もう走れない身で近づく。ああやって普段から真面目な顔してりゃ、格好がつくのに。もったいない男だよ。
「…………リン、」
シャーロットはおれの顔を見ても驚くだけで別に喜ばなかった。なんでだよ。その大きな身体に、もたれる。少しだけ、安心出来た。横にウサギの着ぐるみがいなきゃ、おれはもっとシャーロットに甘えていた。
敵の中に日本人がいるらしい。急にいなくなったおれは、どうやら組織を裏切った張本人だと思われていたようだ。馬鹿かよ。道理で、誰も探しにこないわけだ。ふらつく身体をシャーロットに支えてもらいながら、違うことを長官に伝える。捕まっていたこと。逃げてきたこと。長官は一枚の写真をおれに見せる。ぞっとした。それは先程までおれを捕らえていた男だったからだ。
真っ向から勝負を挑んでくるような組織が、こんなに簡単におれを逃がしたのは何故だ?
確実に裏がある。
ああ、でも、そんなことどうでもいい。今は冷静にものを考えられない。
誰が見てるのもお構い無しに、シャーロットの胸ぐらを掴んで引き寄せる。いちいち言わなくても分かれよ。睨んだら、おとなしく唇をくれた。真横の着ぐるみがピョンと跳ねて、そのままどっか行った。
重ねる程度の口づけじゃ、もちろん足りなくて、舌をねじこむ。早くこのしんどい状態から抜け出したい。立っているのもつらい。寄りかかるついでに股間を押し当てる。
「薬盛られた?」
「うん」
察しがよくて助かる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 58