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医務室に連れていきますとシャーロットは長官に言って、おれをエレベーターに乗せる。その判断は正しいし、今こそ佳境だし、こいつが真面目な顔を崩さないのは当然だ。だけど全然、そんなんじゃ駄目だ。嫌だ。
「あらあら、リンちゃん、一旦落ち着こうか」
「無理」
いいから早く抱けよ。こっちは他の奴となんかしたくないから必死で逃げてきたんだよ。なんなんだよ、あいつ。一般人じゃないなら、躊躇せずにもっと早く殴っとくべきだった。捕まえておけばよかった。熱い。しんどい。ヤりたくてたまらない。思いついた言葉が全部口から出てしまう。止められない。悪態と文句を撒き散らすしか、発散方法がなくて苦しい。
「他の人じゃ、やだ。お前がいい。抱いて」
普段のおれなら絶対に言わないのに、媚びるような甘い言葉は大嫌いなのに、今はなんのためらいもない。精神的に一歩引いてたシャーロットも、それでようやく心が揺らいだようだった。医務室は重傷患者でごった返しているし。そんな情けない言い訳を、こいつがするのも珍しい。エレベーターのボタンをもうひとつ押して、自分達の部屋に向かう。
部屋に入るなりおれはシャーロットを突き飛ばしてベッドに座らせる。その上にまたがって唇をむさぼり、服を脱ぎにかかった。申し訳程度におれの肩を撫でる手に、イラついた。なんなんだ、その顔は。戸惑ってんなよ。
「……見てんじゃねえよ」
「積極的だなあ」
「し……したくてしてない」
「やめる?」
「やだ。する」
「そんなに俺が良かった?」
「うん」
「…………………………」
なんでそこで黙るんだよ。追いかけるのは好きだけど追われるのは趣味じゃないのか。ゲームじゃねえんだよ。幻滅するなら勝手にしてろ。
「乗り気じゃねえなら、しない。……我慢する。でもそばにいて」
仕事をしたいのは分かる。おれだってこんなことになってなけりゃ、最優先の現場に向かう。戦況を把握しておきたい。一人でも多く救いたい。正義感じゃなく、倫理とも関係がなく、ただの使い捨ての駒として使命を果たしたい。シャーロットに抱きついて、匂いを吸う。なんの香りでもない、こいつの匂いが好きだ。シャツ越しの他人の体温を、こんなにも欲しがったことは今まで一度もない。
「………………」
むこうは何も言ってこない。そりゃそうだ。訳の分からない変な薬に浮かされてるのは、おれだけだ。もどかしい熱さも、疼いて濡れっぱなしなのもおれだけだ。絶対に今、こんなことしてる場合じゃない。わかってる。わかってるんだけど。
「……………あーあ。我慢なんて出来ないんでしょ?」
シャーロットがおれの唇を優しく奪う。だらしない自分に恥ずかしさなんてなくて、もっと見てほしいし知ってほしい。憐れんで手を差し伸べてくれたら。
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