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えっちな義弟くんのカラダ共有♡年上二人に溺愛されて夜も眠れません
好きな人が一人じゃなきゃいけないって、誰が決めたの?
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綾瀬の黒髪は真っ直ぐでさらさらとしている。航は眠る凛の頭を撫でる綾瀬の髪を手で梳いた。
「なに?」
「……別に」
十九時、椿の間。自家農園で育てている野菜を中心とした旬のものが並ぶ食卓。素材にこだわって考えられた創作懐石。お刺身、和牛のヒレ直火焼き、細やかな意匠が凝らされた器に盛られた絶品料理の数々に、三人は舌鼓を打った。
二十時半。部屋に戻ってしばらく布団でごろごろとしたりスマホをいじったり話していると……凛がなんと寝息を立ててしまった。
夜はこれからだというのに……しかし思い起こせば毎日毎日性行為をしている。たまには疲れてしまったのかもしれない。
「凛ちゃん、ずっと頑張ってたもんね……今日は寝かせてあげよう。うーん、可愛い……ほっぺたおもちちゃんだね」
「まぁ確かに毎日してたからね……そのうえ週末は二人だし……そりゃ疲れちゃうよね。明日も泊まるし、今日はゆっくり休ませてあげようか」
「あ、じゃあお酒飲まない?」
「いいね」
部屋は二部屋。眠るための広い部屋と、外の景色を一望できる窓際のテーブルセット。二つの部屋はふすまで仕切ることができるので、間を閉めてしまえば凛を起こすことはない。
持ってきたお酒を冷蔵庫、おつまみをカバンから出して、二人は浴衣姿で月が見える窓際で乾杯。
「お酒飲むの、久しぶり」
「意外と航はあんまり強くないんだよな」
「……こればっかりは体質だから」
義理の兄弟なので凛は意外と強い。綾瀬はたぶん一番強い。しかし、普段から酔っているような性格なので、お酒を飲んでもあまり変わらない。
航はアルコール度数の低いお酒を選んで買ってきた。缶を開けて半分。飲んでしばらくすると、頭の中がグラスの中身みたいに揺れる。
お風呂ではコンタクト、今は眼鏡。少し外してみる。低い視力から見えるぼやけた世界。窓から入り込む銀色の月の光が乱反射する。向かい合わせに座る古くからの友人。この位置だと顔も何も見えない。
「……最初に話した時のこと、覚えてる?」
「ああ、確か……プリントを探してたら見つけてくれたんだ」
「びっくりだったよねぇ……アーヤは面白い子だったから、ずっと見てたよ。でも、話したらもっと面白かった……」
ぐい、とグラスを口に運ぶ。いつもはあまり見せないような、柔らかい笑顔が浮かぶ。義理の兄弟なのに凛と少しだけ雰囲気が似ている。綾瀬はさっと目をそらした。この前、一緒に性器を触った時に……キスをしたことを思い出した。なぜあの時はそんなことをしたのか、全然分からなかった。ただ、一瞬凛に見えた。それだけ。
「そうか……航とは凛ちゃんよりも先に出会ってたんだよな……」
「そうだよ。結果的にこういう関係になったけど、僕は僕なりにこれで良かったと思っている」
意味深なことを言って、航が親指の爪を噛んだ。がり、と音がする。それは精神的な安定を図る行為。ストレスの発散と蓄積を防ぐ役割がある。前に噛んでいた場面は、とんでもない修羅場だった。
ふう、と航が息を吐く。アルコールが理性のストッパーをゆるやかに外す。
「僕は好きな人が誰かと性行為をしている所じゃないと、もう興奮しないようになっちゃってるんだよね……凛の事が大好きだよ。でもね、それだけじゃないんだ……」
「え……?」
「初めて誰かの事を面白いなって思って……話しかけた時から、ずっと。凛と出会って好きになるよりずっと前から……君のことが、好きだったよ」
ざわ、と外で風が吹いて、木々が揺れる。高い所で冴え冴えとした光を放つ白い月。綾瀬は何を言われたのかよく分からなかった。
八歳の事から二十年の付き合い。途中大学などで疎遠になった事もあったが、何だかんだで友人関係は続いていた。どく、と心臓が跳ねる。目の前にいる、眼鏡の青年が……凛とよく似た青年が、まるで違う人のように見える。
航はグラスのお酒を一息に飲んで、ぽつりとつぶやいた。
「好きな人が一人じゃなきゃいけないって、誰が決めたんだろうね……」
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