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優しさ
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どこからかそんな声が聞こえてくる。顔を上げ
て声の方を見てみるとさっきの彼、諏訪さんだ
った。
「あ…ありがと…ございます…」
声が小さかったが聞こえただろうか。
「ううん!気にしないで!それより敬語なんて
堅くならないでよ~!」
なんて笑顔で返してくれたのだ。
あぁ、こんな僕にも笑顔で返してくれる。そん
な彼が僕は眩しかった。優しくしてくれてあり
がとう。でも…よろしくはできないよ…こんな僕
なんかと関わっていい人じゃない。ごめんね。
僕がこんなじゃなかったら関われたのかな…そん
なことを心の内に秘めながらその後の自己紹介
を聞いていた。
自己紹介が終わり次は部活紹介。僕は当然帰宅
部。欲を言えばあの人たちがいる家にいる時間
を少しでも減らすために入りたいけど僕なんか
が入っても邪魔なだけ。僕は隅で大人しくいる
べきなんだから。僕が我慢すればいいだけ。
「なぁ、太陽、お前はなんの部活はいんの?や
っぱりバスケ?」
「いや、バスケは中学で散々やったから高校
では違う部活に入ろうかな」
なんて声が後ろから聞こえてくる。諏訪さん…も
う友達ができたんだ。すごいな。やっぱり僕と
は全然違うや。
「ねぇねぇ、美影くんはなんの部活入るか決め
た?」
なんて後ろから肩をつんつんされた。
「え…あの、、僕は帰宅部…です…」
「そうなの…?気になる部活とかなかった?て
か、敬語じゃなくてもいいよ?」
「あ、えと敬語は癖みたいなものなので…部活…
は…僕なんかが入っても邪魔になるだけなので…
入らないです。」
そう答えると諏訪さんは不思議そうな顔をし
た。
「邪魔…って美影くんが?なんで?」
「僕…見ての通り暗いしグズでノロマで、人と話
すのも苦手なので…他の方たちの足を引っ張る
だけです…」
「いやいや、全然暗くないって!それにマイペ
ースなだけで別にそれは美影くんの個性だと思
うよ?それに今おれとちゃんと話せてるじゃ
ん!」
そう彼は言ったが、僕が暗くないわけがない。
僕はこの世のお荷物なんだから。でもそんなこ
とを言う訳にはいかない。
「あ、ありがとうございます…でもやっぱり部
活は…やめておきます…」
「そっかぁ…無理強いは良くないもんね…」
これでもう彼は僕に話しかけてこないだろう。
話すことなんてないのだから。
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