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4月6日①[日向]
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始業式が終わって教室に戻ってきてからは、窓の外を見ながら、僕は担任の佐久間先生の話を聞いていた。
去年の初めと同じ出席番号1番_窓際の最前列_の席から見える葉桜が風に吹かれている。
教壇に立つ佐久間先生は中学2年生が人生で1番楽しかった、と意気揚々と話している。
正義感に溢れた熱血教師、みたいなウザい空気醸し出しちゃってさぁ。
「…じゃあ、1時間目は自己紹介しよう!出席番号1番の人から!」
言うと思った。
熱血教師に指され、渋々僕は立ち上がり、教壇に立つ。
「…浅野日向です、よろしくお願いします」
「ちょっと浅野!それだけ!?好きなものは?苦手なものは?誕生日は?血液型は?」
席に戻ろうとした僕を大声で止める熱血教師。
うるさいなぁ。
僕は途中で立ち止まる。
「…好きなものも苦手なものも特にないです。誕生日は8月10日。血液型は…多分O。これで良いですか?」
「うん、まあ良しとしよう!」
こいつ、大声でしか話せない呪いでもかかってんの?
と思いつつ、席に戻る。
暇だな。
あと38人の自己紹介を聞かなきゃなんないのか。
再び窓の外を眺める。
今度は葉桜を見てたんじゃない。
建物を見てたのでもない。
「天国って楽しいところかな」
口の中でそっと呟いた。
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