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4月6日③[結月]
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『良ければ僕と付き合わない?』
浅野の言葉が何度も何度も、俺の頭の中でぐるぐると回り続けている。
ハッと我に帰った頃には、学校から2.2km離れた自宅に着いていた。
何度見てもその迫力に怯みそうになる、25階建てのマンションを見上げる。
俺、どうやって帰ってきたっけ。
40分ほど歩いていたはずなのに、その間のことを何も覚えていない。
俺、浅野に告白されたんだよな……?
まるで夢でも見ていたような気分だ。
頭がぼうっとして、どれだけ己に問いかけても、答えは出てこない。
一旦考えるのやめよう。
俺は今までの思考を隅に追いやって、マンションのエントランスを通り、エレベーターに乗った。
18のボタンを押し、壁にもたれかかる。
「……」
23秒ほどで、エレベーターは目的地に着いた。
ドアの鍵を開けて家に入ると、「おかえりー」と聞こえた。
「……雫?」
「はーい、雫だよー」
とてとて、と可愛らしい足音を立てて、セミロングの黒髪を揺らしながら玄関までやってきた雫。
俺の兄貴の元カノだ。
ちなみに兄貴は俺の3つ上で、雫は俺の1つ上。
勉強も運動も壊滅的だが、いざという時は頼りになる人だ。
頼りになる……なら、
もしかしたら、相談に乗ってくれるかも、と期待を抱き、口を開いた。
「あのさ、雫……相談に乗ってほしいんだけど、俺、恋人が、」
「いいよ!何か悩み事があるなら、雫おねーさんに任せなさい!」
と、目を輝かせる雫。
流石だ、雫なら、
BL好き……所謂、腐女子の雫なら言わずとも分かってくれると思っていた。
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