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4月6日夕方おまけ[日向の親友・葵]
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家で絵を描いているときだった。
ひなからのメールが来た。
『報告したいことがある』
たったそれだけの愛想のないものだった。
「ひなにしては珍しいなぁ……」
呟き、電話をかける。
正直なところ、ひなは文字を打つのが遅いから、電話の方が手っ取り早い。
「もしもーし。ひな、どうかした?」
『僕、深山くんと付き合うことにした』
間髪入れずに迷いのない声ではっきりと、ひなは言い切った。
…………え?
「え、うっっそ、マジでぇぇぇぇ‼︎‼︎⁉︎」
思わず叫ぶ。
叫んだ後で手元を確認する。
良かった。
俺の手はいつも通り叫ぶ直前に、ミュートにしてくれたみたいだ。
流石、俺の手。
なんて言ってる場合じゃない。
深呼吸して、息を整えて、ミュートを外す。
「……え、マジで?」
『マジで』
「あれ、本気だったんだぁ……」
『僕は目的のためなら手段を選ばないよ。それも、葵のためなら尚更』
「はは、怖いねぇ」
ひなの計画は中2になる直前に聞いていた。
俺は中1の秋、七海くんを好きになった。
俺にとって、いつも七海の横にいる深山くんが……こんな言い方しちゃいけないと思うけど、邪魔……ではある。だからひなは、深山くんを七海から引き剥がすため、無理にでも自分と付き合わせる、という計画だった。
でも、まさかこんな早く実行するなんて思ってもいなかった。
ひなは確かに有言実行タイプではあるけど……本当に……
「でもさ、本当に良かったの?」
『何が』
感情の読み取れない声だ。
「だって……ひな、俺以外はもう誰とも関わりたくないって言ってたのに」
『……良いんだよ、僕はそれで』
ひなは、まるで誰かが自己犠牲を賜わなければ、幸せになれない、とでも言うように呟く。
「そう……でも、もしもの時は深山くんも頼りなよ?」
『まあ、不本意だけどそうする』
その返事が聞けたことに少し安心して、電話を切る。
深山くんは、ひなのことどう思ってるんだろう。
今度機会があったら聞いてみようかなぁ。
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