アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4月7日①
-
「うお、結月、今日は妙に早いな」
6時半、ダイニングでトーストをかじってる俺に兄貴__流星は言う。
「そういう流星こそ……また失恋でもした?」
「うるせぇ、彼女とは順調だよボケ」
いつも通り、じゃれ合いながらも朝ご飯を食べる。
ふと、口を開く。
「……なあ流星、もし俺に恋人出来たって言ったらどうする?」
ゴフッ。
俺の隣でトーストを食べていた流星は、口に手を当てて、ゴホゴホッと咳き込む。
「お前……彼女出来たのか」
「い、いや、そうじゃないんだけど、もしも出来たら……ってこと」
「だ、だよな、結月に彼女出来るわけねーよな」
失礼だな、反論はしないけど。
「まあ……でもとりあえず祝うと思う、多分」
「……そう」
「……本当に彼女出来た時は言えよ」
「何で?」
「結月に相応しいか見極めてやる」
そう言うと、流星は3分の1くらい残っていたトーストを口に押し込み、ココアで流し込んだ。
そうだ、こいつブラコンだった。
そのせいで今までの彼女全員に振られていたな。
俺は、はは……と乾いた笑いを返し、流星の後に続き、空になった皿を片付けた。
ちょうどそこに、入れ違いになるように父さんがやってきた。
「ん、2人とも早いな」
「父さん、もう6時45分だよ」
「時計が見えないなら眼鏡かけろよな」
「そうだな……俺の眼鏡どこか知らないか」
「「知らん」」
自分の胸ポケットに入っているのに気づかないのか。
呆れてものも言えない俺と流星は、寝ぼけ眼の父さんは置いておいて、それぞれ学校の支度をする。
数分で、流星は家を出て行った。
俺は自室に戻り、ネクタイを締めて、ブレザーを着る。
スマホの中のカレンダーアプリを立ち上げ、今日の予定を確認し、昨日の授業内容をまとめたノートを見て、スケッチブックの真ん中あたりのページを開き、昨日の続きを描く。
そうこうしているうちに7時30分となった。
俺は靴を履き、靴紐を結び直して、外へと出た。
「いってきます」
エレベーターで下に降りた。
今日も晴れだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 17