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4月7日②
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学校にはいつも通り8時5分に着いた。
靴からスリッパに履き変え、朝特有の静けさに包まれた廊下を歩く。
階段を登ってすぐの教室に入った。
L字型の校舎の北側_つまり北校舎_の3階に属する2年1組の教室には、俺を含めて3人の人がいた。
すでに荷物を片付け終えて、窓から外を眺めている女子、リュックから教科書やノートを出している男子
……そして、窓際の1番前の席でうつ伏せになっている浅野。
そういえば、昨日の告白の理由を聞き忘れていたから聞きたいところだが、もしかしたら寝てるかもしれない。まあ、後で聞くか。
俺も自身の席で、リュックから教科書類を出し、後ろのロッカーにリュックを置く。
どんどん教室内に人が増えてくる。
8時10分、まだ時間がある。
スケッチブックを開き、朝描いた空に翼の生えた魚を描き足していく。
1匹描いて、なんとなくまた浅野を見てみる。
さっきと変わっていない。
「結月、おはよう」
「びっ…くりした……おはよう、涼太」
突然、上から降ってきた声に多少驚き、返事をする。
「素敵な絵だね。儚さと繊細さを兼ね備えた結月らしい、綺麗な絵」
愛おしいものを見つめるかのように、涼太は呟く。
褒められ慣れていない俺の心はドクドクと早鐘を打っている。
「や、やけに過大評価だな」
「本心のまま言っただけだよ?」
こてっ、と首を傾げる涼太は破壊力がより強くなる。
でもやっぱり言い過ぎだ、だから本心だって、などと涼太と会話を繰り返す俺は気づいていなかった。
浅野が睨むようにこちらを見ていたことに。
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