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ふたりで山に
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「いいじゃん熊、仔熊も見れるよ」
「それこそ嫌だ」
子持ちの熊がどれだけ危険か、この辺りの住人はみんな知ってる。なのに桧のこの自信はなんなのか。
「何度も言ってるじゃん、俺がいれば瑞は大丈夫だって」
「……百発百中な熊の撃退法でも知ってるのか?」
「違うよ。熊は俺を襲わない、だから俺が一緒なら瑞も襲われない」
「…意味がわからん」
確かに山の麓には桧の家族しか住んでない。他の住人は畑を荒らされたり襲われたりして、もっと平地に移住していた。
そんな中で何代も、何の被害にも遭わずそこに暮らしている桧の家族には、『山の加護がついている』と謎の憧れを抱く人もいれば、『あいつらがむしろ熊なのでは』といって気味悪がる人もいる。もっとも、後者の奴はわけのわからん迷信ジジイが大半だが。
「それを仮に信じるとして、もし俺がヒノとはぐれた時は、どうなる?」
「……あっ」
肝心なことをすっかり忘れていたようだ。確認しといてよかった。
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