アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
五つ星
-
田舎ゆえなのか、食材だけは豊富に取り揃えられているこの町で一番人気がある食材と言えば、何といっても茸だ。
もっとも、茸がメインで受けてるのはある程度年齢をいった大人がほとんどで、俺達より年下の子供は最近はあまり食べたがらない。実際、俺も茸がほとんど食べられない。
食わず嫌いではなくて、ちょっとした嫌な思い出があるからだ。
「ねぇ、このレストランすっごくない?」
「やっば、五つ星だって!」
クラスの女子たちが、揃って都会のグルメ情報誌を覗いては騒ぎ合う。
都会というブランドはもちろん、なんとかの魚のポワレだとか、うんたらのソースを添えて~だのともに~だのという長ったらしい名前が、ある意味女子受けしてるのかもしれない。
「むぐ…あの雑誌ちょっとインチキくさいよね、んぐっ…普通三つ星までじゃなかったっけ?……もぐもぐ」
「ヒノ…それ聞かれないようにしとけよ?てかよく食うな」
桧が早弁をしながら、さらりと怪しげな雑誌の痛いところを突いてくる。
ていうかこいつ、こないだも授業中に菓子食って先生にどやされたばっかだよな…この細身のどこに吸収されてるんだ。
「そういや今日の弁当、茸が入ってたような…」
「え?瑞きのこダメなの?」
「ダメっていうか、昔はそれなりに好きだったんだけど、ちょっとな」
「じゃあお昼の時間にちょうだいよ。俺きのこ好きだよ」
すでに桧は弁当を完食していた。これでまだ足りないとは恐れ多い。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 7