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少し歩くと、道路のわきに高級車が止まっているのが見えた。
会長は僕を後部座席に押し込むと、自分も乗ってドアを閉めた。
「で……何があった?」
「……」
僕は俯いたまま顔を上げられなかった。まだ頭が混乱していて、何を言って良いかわからなかった。
会長は運転手に学校に戻るよう指示を出して、そのままじっと僕の返事を待っていたが、返事がないのがわかると外を見たまま黙っていた。
(お父さんのお墓参りに行けなかった…会長にも迷惑をかけて、僕は一体何をしてるんだろう……)
不甲斐ない自分に悲しくなって来る。
それにどうしても先輩達の姿が浮かんで気持ちが沈んで行ってしまう。
あくまでも先輩の本命は副会長なのだとある程度は割り切っていたつもりが、全然割り切れてなんかいなかった。
(当然か……)
僕は本気で先輩の事が好きなんだから、最初から割り切る何て無理だったんだ。
それでも僕の方から先輩と離れるのはもっと無理だ。
(辛くても我慢するしかない……)
先輩が僕を求めてくれている間だけでも一緒にいたい。
「静。」
ぐるぐるとそんな事を考えていると、いつの間にかこちらを見ていた会長が声をかけて来た。
「はい…」
僕は会長を少しだけ見た後、また俯いて返事をした。
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