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押し込まれてからすぐに振り返ると、そこには優雅にドアを閉める副会長・一条響先輩の姿があった。
驚いて教室内を見渡すが、他には誰もいない。副会長が僕を空き教室に押し込んだので間違いなさそうだ。
「手荒にしてゴメンね。誰かに見られたらまずいから。」
副会長は、いつも壇上で見るのと同じ笑みを浮かべながら言った。
「いえ…」
僕は緊張しながら答えた。
「君は…翔のお手伝い役をしてくれてる、西岡静君だよね?」
僕の事は知ってるよね?と言う副会長に僕は、はい、と答える。
「時間がないから早速本題に入らせてもらうけど…君は、翔の事が好きなの?」
「えっ……なんで………」
その事を…と続けそうになって、ハッと口元を両手で押さえる。
「別に隠さなくてもいいよ。親衛隊の事も気にしない。」
「……はい。」
僕は少しうつむきながら答えた。
気のせいかもしれない…けど、何というか…
副会長から、敵意のようなものを向けられている気がする。
顔は笑顔だけれど、ひどくイラ立っているような…
僕は威圧感に耐えながら、副会長の言葉を待つ。
「実は…誰にも言ってないんだけど……僕と翔は付き合ってるんだ。」
「えっ………?」
僕は咄嗟に顔を挙げ、目を見開いて副会長を見た。
一瞬、副会長の発した言葉の意味が理解出来なかった。
いや、理解したくなかっただけかもしれない。
藤枝先輩と副会長が……付き合ってる………?
「翔は…君のことは気に入ってるみたいだけど、弟みたいに思ってるんじゃないかな。」
翔には弟が二人いるんだよ、と付け足す。
藤枝先輩とは色々話したけれど、家族の事は自分が聞かれたら困るので、話した事はなかった。
それゆえ、弟がいるとは知らなかった。
「別に好きなら好きで構わないよ。お手伝い役も続けてもらっていい。」
僕は混乱しながらうつむいて、右手で左腕をギュッと握った。
「牽制とかじゃなくて…ただ、君と話してみたかっただけだから。」
副会長は時計を見ると、そろそろ行かないと、と呟いた。
「じゃあね。あっ、ここで話した内容は誰にも喋らないでね。」
副会長はそう言って、空き教室を後にした。
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