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次の日の朝早く、僕は携帯の着信音で目が覚めた。
ハッと覚醒して携帯を手に取り、画面を見ると、会長から電話だった。
「はいっ…もしもし…!」
「悪い、起こしたか?」
慌てて起き上がりながら電話に出ると、会長は朝早い事を気づかう声をかけてきた。
「大丈夫です。」
寝起きは良い方なので問題なかった。
「そうか。…ところで、静…お前本当に寮に残るのか?」
「…はい。」
それ意外に仕様がない僕の答えは変わらなかった。
「じゃあ……俺の家に来ないか?」
(俺の家に…って)
「……え⁉︎」
思ってもみなかった事を言われ、理解するのに時間がかかってしまった。
「俺の実家は広いからお前一人泊まるのは問題ない。…帰省しないから寮にいるってだけで、特別寮に残る理由はないんだろ?」
「…そうですけど……」
「今日の昼頃に迎えが来るから、それまでに準備をすれば良い。」
「会長…あの……」
「…無理に…とは言わないが、俺はお前に来て欲しい。…藤枝抜きでお前とゆっくり過ごしたいしな。」
会長は前半部分は真剣に、後半部分は少しふざけたように言った。
寮に残る僕を気遣ってくれているのだと思う。
だけど会長の家に行く事は出来ないと思った。
恐れ多いし、泊まるとなるといろいろ迷惑がかかってしまう。
何よりも急過ぎて、断る意外考えられなかった。
来て欲しいと言ってくれている会長に申し訳ないけれど…
「すみませんが、僕はやはり寮に残ります。」
「遠慮しなくていいんだぜ?」
「ありがとうございます。ですが…」
「俺の誘いを断る気か?」
「……」
僕が言葉に詰まっていると、会長はふっと笑った。
「悪い、困らせたな。」
「いえ、あの…」
「いい、気にするな。ただ…何か困った事があったら、必ず連絡しろよ。」
「はい…ありがとうございます。」
その後も少し話をして、電話を切った。
会長はいつも僕を気にかけてくれる。
(ありがとうございます。)
心の中でもう一度感謝の気持ちを言葉にした。
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