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「…悪い。紅茶が冷めてしまうな。」
そう言うと、先輩は僕を抱きしめていた腕を緩めたので、僕も先輩の制服を離した。
(もっと抱き合ってたかった…)
僕はすごく名残惜しい気持ちになり、つい自分の手を見つめてしまった。
先輩とソファーに向かい合って座って、紅茶を飲みながらクッキーを食べる。
ずっとドキドキが収まらず落ち着かない僕は、頭がうまく働かず、何を話したらいいか分からなくなってしまった。
(どうしよう…いつも通りにしたいのに……)
紅茶を飲み終えた頃、僕の緊張はピークに達していた。
「…西岡。」
「はい…」
呼ばれて先輩の方を見ると、先輩がちょいちょいと手招きをしていた。
僕は呼ばれるがままに立ち上がって先輩の側に行った。
先輩は優しく僕の腕を引き、僕を先輩の足の間に座らせて後ろから抱きしめるように腕を回した。
(わあっ…)
背中いっぱいに先輩を感じて、僕はものすごくドキドキしながらも心地よい気持ちになる。
(先輩ってくっつくの好きなのかな…)
僕の腕ごと包み込んでいる先輩の腕をそっとつかむ。
(副会長ともこんな風に過ごしてるのかな…)
ふとそんな事が頭をよぎり、浮かれてたはずの気持ちが一気に落ち込んでしまった。
(この腕が……
背中に感じる温もりが………
僕だけのものだったらいいのに………)
先輩の腕をつかむ手にギュッと力を入れると、先輩も僕を抱きしめる腕をギュッとしてくれた。
それだけの事で、一気に天にも昇るような気持ちになった。
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