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この後の事は俺ではどうしようも出来ないものだったので、このホテルに連れてきた張本人にバトンタッチするかのように。
ふぅーと小さく安堵のため息を一つ吐いてから、この席からとても良く見える夜景を……。
じっと美術品のように鑑賞しながら、こう脳裏で考える。
(こうやって見るなら、綺麗で美しいのに……。近づいて中に入れば、醜くて澱んでいて、如何にもならないなんて)
(憎悪的で嫌悪しか感じない奴らしか居ない街なのに、此処から見た光景を筆をとって描きたくなるのは……。きっと、俺にあたられた天からの呪いなんだろう)
そう思いながら、アレクセイの方に顔を向ければ。
男は幸せそうににっこりと嫌味のない笑みを浮かべて、俺の方をずっと見つめていたので。
「えっ……あっ……私、その……えっとっ……」
「そう照れなくても良いよ、外がそんなに綺麗だったのかな? 今日で一番のキラキラとした瞳で……じーっと見てたから。君が飽きるまで少しだけ待ってたぐらいだよ」
「俺そんな風に見てたのか? ああっ……マジかよ。」
何度目になるか分からないけど、俺は恥ずかしさで顔を真っ赤にさせながら見つめる男の視線から逃れるように視線を泳がせば。
「あはは、ほんと君は美しくて可愛いな。でも今は君を揶揄うよりにも……一緒にこのカクテルで乾杯したいかな」
「えっ……あっ……っていつの間に、来てたんだよ? 普通に気づかなかった」
「それだけ、すごく見惚れてたんだね……この夜景に。でも、もうそれはお終いだね。ここからは僕だけを見て欲しいな」
そう嬉しさを隠す気がない声音と、柔らかな表情でいい放つ男に。
「なっ……恥ずかしい奴ですよねアレクセイ様は、何というかそう言うキザなセリフとか言って……貴方相当男にも女にもモテるだろう?」と、こんな外見も生い立ちも奇跡レベルに恵まれて居る男は。
──嘸かし、男も女も取っ替え引っ替えなんだろうな!! 羨ましくないけどなんかムカつく!! 的な嫌味を込めて言い返せば。
「うん、まあ……そうだね。モテるよ、うん……嫌になるぐらいモテるけど。僕は究極の一途だから……君以外からモテるのは目障りさ」
「すげー言い切るよなアンタ、というか……俺がいつ、アンタを好きだと言った? 俺そんな事言ってもなければ、そんな行動もしてないはずだぞ……!!」
「ヴィクトルは本当に、素直じゃないね。でもそんな事は今は良いや……僕はそれよりも気になっている事があるんだ?」
アレクセイは俺の返答を全く聞き耳を持たず、あしらう様にハイハイそんな事言っても意味ないからと言う素振りと声音で言い放ってから。
続けるかのように、
「どうして、白雪姫を君は選んだのかな? てっきりワインとか、ブランデーとかウィスキーとかを選ぶのかなって思ってたからさ。ほんと……ビックリしたんだ、それに僕以外と甘いお酒が好きだから……やはり君は僕の最愛の人だ」
「俺が最愛の人だって? とんだ勘違いじゃねぇのか? と言うかアンタずっと俺の事好き好きしてくれるけどさ………残念だけど、俺気になる人が居るから。アンタの気持ちは今は受け取れないぜ?」
「えっ……そう、そうなんだ。気になる人が居るんだ? それってどう気になる感じ? あと、そいつって君とはどういう関係?」
俺の発言にさっきの雰囲気とは真反対レベルに暗く、そして心の底から恐怖で震え上がるような低い声音でそうアレクセイは言うので。
「あっ……えっ……えっとそのな、気になるって言ったけどさ。何というか俺が側に居て色々とやらないとなって言う感じの気になるって奴だぞ!! あとな、一応俺の幼じみの友達で男の恋人も居るから……って。ああクソっ……その事思い出して、なんか辛くなってきたわ」
「……もしかして、君フラれたのそいつに?」
「違うっ……そんなんじゃねぇよ。ただ、知らぬ間に可愛がってた猫が子供を連れてきたみたいな感情なんだよ。大体俺……人を好きになる感情なんかわかんないし」
「そう泣かないでヴィクトル……別に、今はわからなくても良いんじゃないかな。好きって気持ちは……いつかきっと君にも戻って来るから。だから今日は僕の胸で沢山泣いて、そして思いを吐き出せば良い」
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