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寒い春
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街がカラフルに色付く季節、それでも寒さは残っていて僕は身震いした。行き交う人々は幸せそうで誰にも聞こえないような声で暴言を吐く。
「なーに、マシュマロっち」
「ん、何でもないよ」
「そかそか」
隣を歩く幼馴染。要領が悪くて先生から目をつけられる残念なやつ。コイツが髪を染めるから、僕の地毛も“そういうこと”だと見做されて僕まで厳しい目を向けられることも多い。それでも一緒にいるのはコイツが僕を見捨てなかったから。
「良い出会いがあるといーね」
ヘラヘラと笑う幼馴染が僕は本当に大嫌いだ。
「蒼くん!」
「あ、晴ちゃんおはよう!」
嫌いだ。
幼馴染の名前を愛おしそうに呼ぶこの女も、この女を見ただけで幸せそうに微笑むコイツも。全部、全部嫌いで、消えてなくなれば良いとさえ思う。
「何ぼさっとしてんだよ、置いてくぞー?」
でも、
「優磨くん、遅れちゃうよ!」
それでも、
「「はやくー!」」
同じくらい、この二人と一緒にいたいと思ってしまう。
そんな僕が一番嫌いなんだ。
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