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「お待たせ!待った?」
「待った。置いて行く所だった」
「置いて行かないで?!」
「…置いて行ったら可哀想かなって思って、待ってた」
「さっすが歩夢!可愛いなぁ、もう!」
「う、うるさい!…置いて行けばよかった…」
「またまた〜!そんな事言って〜!」
楽しそうに会話をする2人を見て
僕は少し胸が痛くなった
本当、仲いいなぁ…
幸せそう…
嬉しいはずなのに
悲しいのはなぜだろう…
微笑ましいはずなのに…
上手く笑えないのは…なぜですか?
琉衣を好きだった頃の歩夢は…
こんな気持ちで僕たちを見ていたのだろうか…
こんな苦しくて悲しい…
そんな気持ちで…
思い出すだけで
あの頃の自分が嫌になる
バカみたいだ…
本当…バカだよ…僕は…
「…愛斗?どうした?」
歩夢が不思議そうに
そう言った
「…まーくん?」
紘も、心配そうに
僕の顔をのぞき込む
「…ごめんね…」
気づけば僕の口から
そんな言葉が吐き出されていた
あの頃に対する
謝罪の言葉…なのかな…
でも…今更遅いよ…
気づくのが遅すぎた…
「…ごめん…本当にごめんね…」
「愛斗…。何で謝るんだよ…」
「だって…!僕…たくさん傷つけたから…歩夢の事…」
あの頃の僕に言ってやりたい
お前がやっている事は最低なんだよ…と
人を傷つける…
最低な行為なんだよ…と
そう言ってやりたい
「今更後悔しても遅いけど…でも…僕…」
「愛斗…もういいから…」
「よくない…!よくないよ…」
いいはずない
歩夢を傷つけた事に変わりはないから…
最低な事をした事に…
変わりはないから…
「僕のせいで…歩夢を傷つけた…歩夢を泣かせた…!…最低だよ…本当…」
「…愛斗…」
「きっと…罰なんだろうね…これは…。でも、歩夢の辛さはこんなもんじゃない…もっともっと…辛かったよね…」
「………っ」
少し顔を俯かせた歩夢に
僕は1歩近づいた
「…僕なんかよりずっと…辛くて苦しくて…悲しかったよね…」
1歩…また1歩と
僕は歩夢に近づいた
そして歩夢の目の前まで来た時
僕は歩夢を抱きしめていた
「本当にごめんね…!あんな事して…辛い思いさせてごめんね…!…ごめんね…っ」
「…愛斗…もういいよ…。俺は大丈夫だから…」
歩夢の腕の中で泣く僕を
君は優しく抱きしめてくれた
優しい声で…
慰めてくれた
こんなにも優しい君の心を
傷つけてしまった僕
でも君は…
そんな僕を優しく抱きしめてくれた
感謝しなきゃね…君に…
「…まーくん」
「…紘…?」
「…もう二度と…人を傷つけちゃダメだよ?まぁ、もうしないって信じてるけどね?」
「…うん、しないよ。絶対に…」
「信じてるからね、まーくんの事」
「…うん、信じて」
僕がそう言うと
紘はニコッと微笑んだ
「よーし!では行きますかー!」
「行き先分かってるの?」
「分かりません隊長!」
「ならばついて来るがよい」
「はーい♪」
「はーい!」
歩き出した2人の後に続いて
僕も歩き出した
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