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「…好きな人?」
「はい…。好きな人がいるんです…この学校に…」
「…この学校に…」
そうゆう事か…
この学校は全寮制男子校
つまり瑠夏くんの好きな人は
男って事になる
だから瑠夏くん…
引かないで下さいなんて言ったのか…
不安だったんだね
気持ち悪がられないか…
「…やっぱり…気持ち悪いですよね…。男が好きなんて…」
「そんな事ないよ。気持ち悪くなんかない」
「でも…男ですよ?男が男に恋してるんですよ…?」
「うん、そうだね。でも、俺は気持ち悪いなんて思わないなー…」
「……え?」
不思議そうに俺を見つめる瑠夏くん
君と俺は…同じなんだ
だから…気持ち悪いなんて
思う訳ない
「…俺と一緒だよ」
「…一緒?」
「うん…。俺も瑠夏くんと一緒で…男の人が好きなんだ」
「…先生も?」
「うん。でも、俺は幸せだよ?好きな人と一緒にいられるから…」
「…一緒にいられる…?」
「付き合ってるんだよ、その人と」
俺がそう言うと
驚いたのか少し目を見開いた瑠夏くん
さすがに引かれちゃったかな…?
少し不安になった
「…引いたかな?気持ち悪い?」
「っ!そんな事ないです…!すごいなって…思ったんです…」
「…すごい?」
「はい…。僕には出来ない事をしてるから…。僕なんか…怖くて…告白すら出来ない…」
何となく…思った…
高校時代の俺に似てるって
琉衣に告白出来ずに
うじうじ悩んでた頃の自分に
嫌われるのが怖くて…
気持ち悪がられるかもしれないって…
不安で…
あの頃の自分に…似てる気がした…
「…瑠夏くんは…その人と付き合いたいの?」
「……え?」
「その好きな人と…手を繋いだり…デートしたりしてみたい?」
「…少しだけ…そう思います…」
「だったら…勇気を出して告白してごらん?」
「…え、でも…僕には無理です…」
俺もそうやって逃げてた…
琉衣の気持ちは俺に向いてないって
愛斗がいるからって…
でも…後悔してからじゃ…
遅いんだ…
「…後悔しない?」
「…っ」
「後から後悔したって…遅いんだよ?」
遅いんだ…
誰かに先を越されてからじゃ…
もう間に合わない
誰かに取られてからじゃ…
もう取り戻す事は出来ない…
「言わずに後悔するより…言って後悔した方がいいよ…」
愛斗にも言ったセリフだ
言わずに後悔するより
言って後悔した方がいいに決まってる
何もせず終わるより…
少しでも何かして終わった方が…
「…だから…少し勇気を出して…頑張ってみない?」
「……っ」
瑠夏くんは下を向いたままで
何も言わない
少し強引すぎたかな?と
反省していると
瑠夏くんが顔を上げ
俺の目を真っ直ぐ見つめ
口を動かした
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