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04 紘side
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午前の授業が終わり
俺は職員室で昼ご飯を食べていた
本当は歩夢と一緒に食べたかったけど
でも何か、歩夢忙しそうだったし…
一緒に食べようと思って
保健室に行ったけど
歩夢は1人の生徒と話し込んでいた
真剣な顔をしてたから
とても誘えるような雰囲気じゃなかった
だから俺は、職員室に戻って来て
こうして1人で昼ご飯を食べている
ご飯を食べ終わり、ふと時計を見ると
13時を指していた
もうそんなに時間が経ったのか…
何て思いながらイスにもたれかかった
「桜井先生ー!」
ふと俺を呼ぶ声が聞こえ
声がした方を振り向くと
そこには明るい笑顔で笑う
水輝くんがいた
「水輝くん、どうしたの?」
「あ、いや…その…特に用はないんですけど…」
「あ、分かった!恍くんがいないから寂しいんでしょ?」
「っ?!そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!な、何を言いますか!先生ったら嫌だなぁ〜!あはは〜!」
必死にそう否定する水輝くんの顔は
真っ赤になっていて
図星だという事がすぐに分かった
「今日、恍くんお休みだもんね〜。寂しいんでしょ?」
「さ、寂しくなんか…ないです!」
「本当にー?」
「っ!ほ、本当です!」
「ふ〜ん…」
どうやら水輝くんは
嘘をつくのが下手らしい
本当は寂しいくせに
強がっちゃって
「ところでさ、水輝くんと恍くんはどうゆう関係?」
「え?」
「付き合ってるの?」
「な、なななな、何を言ってるんですか先生!!」
「え?付き合ってないの?あんなに仲いいのに?」
この前だって何か…
怪しかったし
いつも一緒にいるし
付き合っててもおかしくないなって
思ったんだけど…
違ったのかな?
「な、何でいきなりそんな事を…」
「少し気になったから…かな?」
「…付き合ってるように見えますか?」
「うん、俺はそう見えるけど…」
付き合ってなかったとしても
お互い気持ちはあるんじゃないかな…
って俺は思った
勝手な推測だけど…
「…桜井先生になら言ってもいいかな…」
「…ん?」
「…俺と恍は付き合ってませんよ」
「そうなの?」
「…はい。ただ…俺が片思いしてるだけです」
「…片思い…」
片思いか…
俺もしてたな…歩夢に…
「好きなんです、恍の事が…。でも…なかなか言えなくて…」
「最初は勇気いるよね、告白するのに」
「…引かれるんじゃないかとか…気持ち悪がられるんじゃないかとか…不安で…。嫌われるのが怖いんです…」
男が男に恋をする事は
周りから見ればおかしい事かもしれない
変に偏見を持たれたり
変な目で見られたりするかもしれない
そう考えると怖くて
なかなか告白出来ないんだ…
「そうなるくらいなら…親友のままでいた方がいいかなって…。嫌われるくらいなら…このままこの思いを閉じ込めちゃえって…」
「…でも、それじゃ水輝くんが辛くない?」
「…え?」
「自分の思いを閉じ込めるのって…結構辛いんだよね…」
まだ歩夢が琉衣に恋してた時…
その時はまだ…俺の片思いだった
勢いで歩夢に告白したものの…
しばらくは保留状態だった…
歩夢の気持ちがまだ琉衣にあるのを
知ってたのに…
俺は…歩夢の気持ちを
自分に向けさせたい…
そう思ってた
「取られる前に…独占しちゃいなよ」
「…え?」
「恍くんが誰かのものになる前に…恍くんの気持ちを自分に向けさせるんだよ」
「…恍の気持ちを…自分に…?」
「うん。でも心配ないんじゃないかな?」
「…え?」
「きっと恍くんも水輝くんと同じ気持ちだよ」
「…っ?!」
お互い近すぎて
気持ちが伝わりきらないんだね、きっと
お互い思い合ってるのに
近すぎるからこそ…伝わらない…
「だから、告白しちゃいなって」
「…告白ですか?俺に出来るかな…」
「大丈夫だよ!自信持って!」
「…大丈夫ですかね?」
「うん、きっと大丈夫!だから頑張って!」
「…よっしゃ!いっちょやってやりますか!」
ガッツポーズをしながら
水輝くんはそう言った
「桜井先生に相談してよかった〜!スッキリしました!ありがとうございます!」
「いいっていいって!いつでも相談にのってあげるからさ!」
「優しいっスね〜!さすがです!」
「でしょ〜?さすが俺!なーんてね」
冗談混じりにそんな事を言っていると
休憩終わりのチャイムが鳴った
「あ!じゃあ、そろそろ戻りますね!」
「はーい!午後の授業頑張ってね〜!」
「任せて下さーい!」
そう言いながら
水輝くんは教室へと戻って行った
「…歩夢の所に行くか」
そう思った俺は
職員室を出て、保健室へと向かった
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