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「楽しかったー!もう一回乗ろうよ!」
「お、俺はもういい…」
余裕そうに笑う愛斗とは裏腹に
疲れきった顔をした琉衣
もう無理とでも言いたそうな顔をしながら
必死に嫌だとアピールをしていた
「楽しかったけど、もういいかな…」
「歩夢まで…」
確かに楽しかったけど
もう一回乗るとなるとあまり気は進まない
「あ、じゃあさ!お化け屋敷行こうよ!」
「…え?!」
「いいね!行こう行こう!」
「まぁ、お化け屋敷ならいいかもな」
「じゃあ決まりね!」
「…嘘だろ…」
俺以外の3人が
お化け屋敷に向かって歩き出す
「ほ、本当に行くのか?お化け屋敷…」
「うん、行くよ!」
「ま、また今度にしない?」
「え?何で?」
「な、何となーく…」
言えない…
怖いからなんて絶対に言えない…
そう…
俺はお化け屋敷が大嫌いなんだ
ホラー系は無理なんだよな…
紘にすら言ってない俺の秘密
「今度いつ来れるか分かんないし…入ろうよ」
「そ、そうだけどさ…」
「…もしかして、怖いの?」
「え?!そんな訳ないだろ!」
「ふーん?じゃあ入るよね?」
「う、うん…」
ニヤニヤしながらそう言った紘
もしかして気づいた?
そんな事を思いながら
3人の後をついて行った
「…ね、ねぇ…本当に入るの?」
「うん、もちろん」
「そんないい笑顔で言わないでよ…」
「てへっ!」
先に入って行った琉衣と愛斗に続いて
次は俺たちの番
どうしよう…怖くなってきた
「次の方どうぞー!」
「よし!行くぞー!」
「お、おー…」
紘に手を引かれ中へと入る
もちろん中は真っ暗
怖い…怖いって!
怖さのせいで紘の手をいつもより強く握ってしまう
「大丈夫。俺がいるから」
「う、うん…」
こんな時でも無駄にかっこいい紘
大丈夫だよね…?
「うわぁ!!…びっくりした…」
「あははっ!歩夢ビビりすぎ」
「だ、だって!」
「大丈夫だから。ほら行くよ」
「無理無理無理無理…!は、早く帰ろうよ…」
「その為には前に進むしかないんだよね〜」
「…うぅ…泣きそう…」
情けないけど
ここのお化け屋敷が怖すぎて…
若干涙目な俺
情けないなぁ…
「怖いなら怖いって言えばよかったのに。強がっちゃって」
「…言えなかったんだもん」
「まぁ、歩夢らしいっちゃ歩夢らしいけどね」
「…よく分かってるじゃん、俺の事」
「歩夢の事なら何でも分かっちゃうよ?好きな人の事なら何でもね?」
「あ、あんまり恥ずかしい事言うなよ…」
「いいじゃん別に。誰も聞いてないんだから!それに少しは怖くなくなるでしょ?こうして話してると」
「…うん…」
紘と話してると
不思議と怖くなくなる
このまま行けば
大丈夫かもしれない
と思ったのもつかの間
「うわぁぁああああ!!!無理!本当無理!帰ろ?!ねぇ、帰ろうよ紘!」
「ぶっ!あはははっ!歩夢…ビビりすぎ!あはははっ!」
「笑い事じゃないだろ!追いかけて来たんだぞ今!ヤバイって!」
「大丈夫だって!偽物だから!…ぶはっ!ツボった!あはははっ!」
「だから笑うなって!」
俺のビビり方に相当ウケたのか
腹を抱えて笑う紘
失礼な奴め…
こっちは本当に怖いんだからな…
「そんなに怖いの?」
「怖いに決まってるだろ」
「じゃあ、これならどう?」
「…これって何………っ?!」
少し前を歩いていた紘が
振り返ったのと同時に…
俺は紘にキスされていた
「……どう?怖くなくなったでしょ?」
「…う、うん…。でも…不意打ちはダメだよ…」
「ふふっ…歩夢顔赤ーい!」
「う、うるさい!早く行くよ!」
「あれ?怖いんじゃなかったっけ?」
「…っ!…い、一緒に行こう…」
「ふふっ…本当に可愛いなぁ、歩夢は…」
そう言いながら
さりげなく俺の手を握った紘
「これでもう怖くないね?」
「…うん…」
再び紘に手を引かれながら
2人で出口を目指した
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