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03
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屋上に着いた俺たちは
しばらく何も話さなかった
そんな重たい沈黙を破ったのは
翔くんだった
「…紘くん、元気にしてた?」
「うん…相変わらず元気だよ」
「…仕事は順調?」
「まぁまぁかな…でも、だいぶ慣れてきたよ」
「…そっか…それならよかった…」
安心したような…
でもどこか切なげな彼の笑みに
俺はなぜか、胸が痛くなった
「翔くんは?」
「…え?」
「翔くんは、仕事順調?」
「…うん…まぁ何とかね…」
「スーツ似合うね?メガネかけてるから何かエリートみたいだよ?」
「ははっ…ありがとう。何か照れるね…」
口元に手を当て
照れを隠す翔くんが
俺は可愛く見えた
でも…この胸のモヤモヤがなくなる事はない
「…ねぇ…翔くん…」
「…ん?」
「…翔くんは…元気…?」
「…っ」
「元気にしてる?」
俺のその質問に
翔くんは表情を曇らせた
やっぱり…何か隠してる…?
「…俺は…別に普通だよ…?」
「…普通…」
「…うん…いつも通り…だよ…」
「…翔くん!」
翔くんは、フラッとフラつき
俺の方へと倒れ込んだ
「…ご、ごめん紘くん…ははっ…ダサいね、俺…」
俺の腕の中で
翔くんはそう呟いた
明らかに彼は元気ではない
ただでさえ細かった体が
さらに細くなっていた…
まるで病に侵食されたかのように…
「…翔くん…もう無理しないでよ…」
「……え?」
「何でそうやって無理しようとするの…何で隠そうとするの…何で1人で抱え込もうとするんだよ…」
「…紘くん…」
立っている事さえ辛そうなのに…
そんな体で…無理して…
「…翔くん…正直に言ってほしい…。もう隠し事はしないで…」
「…正直に…」
「うん…。翔くん…元気じゃないよね?いつも通りなんかじゃないよね?」
「………っ」
翔くんは顔を俯かせ
少し黙り込んだ後
ゆっくりと口を開いた
「…紘くんに…嘘は通じないね…」
「…嘘なんてつかないでよ…」
「…こうでもしないと…俺自身がダメになる気がして…怖かったんだ…」
「…うん」
声を震わせながら
翔くんは言った
「俺ね…」
そして翔くんは…
ゆっくりと顔をあげ…
切なげに…どこか悲しげに笑いながら…
「…病気なんだ…」
「…っ?!」
そう呟いた…
彼の言葉を聞いた瞬間
俺は頭の中が真っ白になり…
何も考える事が
出来なかった…
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