アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
05
-
「…翔くん、体調はどう?」
「…あまりよくないです…」
重たい体を引きずりながら
やって来たこの病院
今、俺を診察してくれている先生は
見覚えのある先生だ
そう…この病院は…
理玖と紘くんが入院していた病院
またこの病院に来るなんてね…
しかも、この先生だなんて…
「…頭痛は?」
「…最近、痛みが強くなった気がします…」
「…吐き気とか、食欲は?」
「…吐き気は頭痛と同じくらいあります…食欲はあまりありません」
「…そっか…。すごく顔色悪いし…貧血気味だね…。少しでもいいから食べてみたらどうかな?このまま何も食べないままだと…君の体が…」
「…危ない…ですか?」
「…100%ではないけど…でも、そう思っといてくれ。君の体は…もう前とは違うんだから」
「……っ」
前とは違う…
その言葉が俺の心に刺さる
俺の体は…もう…
前みたいに自由に動かない…
前みたいに…元気じゃないんだ…
変わってしまった…何もかも…
「…翔くん。本当は、今すぐにでも入院して…治療を受けてほしい」
「………」
「…このまま放置しておくと君の命が危ない…」
「…っ?!」
「…腫瘍はどんどん大きくなってる…このままだと…1年持つかどうか…」
「…そんな…っ」
このまま放置しておくと
俺の命はあと1年…
余命…あと残り1年…
「入院して治療を受けて手術をして腫瘍を摘出すれば…治る。だから…一刻も早く…入院してほしい」
「………っ」
「君の体は…今は何とか耐えられていても…いずれ限界がやって来る…。その前に、君を助けたい…楽にしてあげたいんだ」
「…先生…」
「だから…考えといてほしい。次来る時までには、答えを出しといてくれないかな」
「……はい…分かりました…」
俺は…このままだと…
死ぬんだ…
ずっとこのままではいられない
死にたくなければ…生きたいのなら…
手術を受けなければならない
普通ならここで、すぐ「受けます」と
答えればいいのに…
なぜか俺は…
そう答える事が出来なかった…
その後俺は
痛み止めと吐き気止めの薬を貰い
フラフラしながら
家へと帰った
家に帰る途中
俺の頭の中は
これからどうすればいいのか…
その事でいっぱいだった…
これからどうなるのか分からないという不安…
もしかしたら死ぬかもしれないという恐怖…
その2つの感情が俺を支配したまま
離れてくれなかった…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 300