アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
※その愛はどこへ行くのか
-
カチ、カチ、と小さな秒針の音も鮮明に聞こえるほどに静まり返る部屋の中、ベッドの上。
春斗は俺を見下ろしたまま動かず、しかし手を拘束する力はどんどん強くなっていく。
「っ、春斗、痛い」
「お願い秋にぃ、このままじゃどうにかなりそう……っ」
悲痛な声色に胸が締め付けられる。
誰にも打ち明けられず、苦しいときに救いを求められず、それどころか笑顔でやり過ごさなければならず、ずっと苦しんできたんだろう。
実際に経験した者にしかわからない苦しみだ。俺が想像した苦しさはきっと雀の涙にも満たない。
だからこそ余計に、春斗の今にも泣きだしそうな面持ちに絆されたんだ。
俺は春斗の願いを受け入れてそっと目を閉じた。
今から春斗がすることを見逃すように。
「……今日だけだからな」
抵抗する力を抜けば、春斗の手は恐る恐る離れていった。
それを皮切りに再び唇を塞がれ、何度も角度を変えて居心地がいい場所を探し当てると舌をねじ込まれる。そうしてさっきのキスは戯れだったと思えるほどの長いキスが続いた。
その最中に服の裾から侵入する手に体が強張る。春斗もそれを感じ取ったのか手を止めた。しかし一秒もたたずに再び動き出して体をまさぐり始める。
触れるか触れないかの指先は扇情的で。思わず身をよじれば重なる唇の隙間から笑い声が零れた。
息苦しさやら恥ずかしさやら訳のわからなさで涙が滲み出る。
次の瞬間、唇が解放され、眦のあたりにざらりとした感触を覚えた。
まさかと目を開けば目の端に赤い舌をとらえた。離れていくそれを目で追うとさらに赤い頬が目に映った。
「っ、春斗……?」
春斗は呼びかけに応えず、また俺の口を塞ぐと今度は腰ひもを緩めてスウェットの中に手を突っ込んだ。
「んっ」
さっきの触れ方とは打って変わって俺のモノをパンツ越しに掴むと上下に扱き始める。
急な刺激に腰が跳ねる。漏れ出る声は春斗に吸い込まれていく。耳には布が擦れる音と舌が絡む水音しか届かない。
こうして春斗の手と舌に弄ばれる俺の体は恥ずかしいくらいに火照っていた。
こんなのおかしい、兄弟ですることじゃない。わかってるのに体は快楽に正直で。
春斗の指先が先端を強く引っ掻くと、俺はあっけなく射精してしまった。
「……下、脱がせるよ」
息も絶え絶えにぼんやりしている間にスウェットもパンツも脱がされる。あらわになった陰茎は白濁液に塗れていて、春斗は指先でそれを掬い取ると尻穴の周りに塗り付けた。
あ、そうか、男同士はそうするんだっけ、と話でしか聞いたことのないやり方を目の当たりにして恐怖に駆られる。
「はると……っ」
助けを求めて呼んだ名も今は耳に届かないのか、興奮しきった荒い息しか返ってこなかった。
ひたり、春斗の異様に冷たい手が膝を掴む。そして膝を掴んで大きく広げると先端を尻穴に当てがった。間もなく春斗が中に入ってくる。
今まで感じたことがない痛みに、涙が滲む。
「ん゛ぃ、いた、い、はると、待っ、て……痛いって!」
「ごめん、我慢して」
「んあ゛ぁ゛っ、……ッ!?」
一気に深くまで差し込まれ、飛び出た大きな声に春斗が慌てて俺の口を手で塞ぐ。
「一階で父さんと母さんが寝てるから、静かにして」
じゃあもうここでやめろよ、という考えは浮かばず、両親にこんな姿を見せるわけにはいかないという思いだけで頷く。それを確認した春斗は手を膝に戻すと陰茎を引き抜いて、また深いところまで突き刺した。
それを何度も繰り返される。
自分の手で口を押えたもののそれだけじゃ抑えられないくらいに刺激が強い。でも春斗は律動を止めてくれない。
すると見かねた春斗が、ぐい、と身を乗り出した。
「う゛、ふ、っんぅ」
その刺激にも耐えきれずに手の隙間から声が漏らすと抑えていた手を引きはがされ、残りの声は春斗の口の中に吸い込まれた。
それからまたあの長いキスが続く。
「ん、ふっ、……ぅっ、好き、だ、……愛してる」
合間に春斗が愛を囁く。
一瞬ドキリとしたものの、これは俺に向けられたものじゃない、と事の始まりを思い出す。だけどなんだか胸のあたりがソワソワと落ち着かず、いたたまれなくなる。
春斗はそれから何度も好きだ愛してると俺に重なった誰かに向かって愛を囁きながら出し入れを繰り返し、最後は俺の中に欲を吐き出した。
俺はどうすればいいのか、どうするべきなのかもわからず、ただただ必死に春斗にしがみついていることしかできなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 10