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お人形遊び
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朝は友達と約束があるからと適当な嘘をついていつもよりかなり早い時間に家を出た。
学校では極力教室からは出ないようにして、移動しなきゃならない時は春斗の姿を探しながらこそこそ廊下を歩いた。
放課後になればいち早く学校を出た。速足で帰った。そうしたところで家に帰ればいやでも春斗と顔を合わせるから意味はないんだけど。
前の席には父さんと母さん、隣の席には春斗。家族四人で囲む食卓はいつになく居心地が悪かった。
「あなたたち、昨日は遅くまで起きてたでしょ?」
夕飯が終わったところで母さんが唐突に口を開いた。その口から出た問いに視界がぐらぐらと揺れる。
もしかして様子を見に二階まで上がってきたのか。部屋のすぐそばまで来たのか。知っているのか、俺たちが何をしていたのかを。
いろんな事が頭の中でぐるぐる渦巻いて、さっき食べた豚カツが食道を逆流してるんじゃないかと思うくらいに気持ちが悪くなる。
間も無く母さんが続けた「喧嘩もほどほどにしなさいね」という窘めで豚カツは無事に胃に帰ってくれた。
「ゲームしてて盛り上がっただけで喧嘩じゃないよ。な、秋にぃ」
「っ、あ、うん、ゲームしてただけ」
同意を求めてこっちを向いたいつもの弟の顔に安堵しながら助け舟に同乗する。
強かというか図太いというか。とにかくそのおかげで何とかやり過ごした俺たちはそれぞれの部屋に戻った。
日付が変わる頃、布団をかぶりこんでぼんやりしていると、扉の開く音が聞こえて体を起こした。
暗がりでよく見えないけど扉の前に誰かいる。その人影が静かに扉を閉めるとこっちに向かって歩いてくる。
そうしてベッドの傍まで来た春斗はそこに膝を載せて俺の体を押し倒した。
「秋にぃ、今日もお願い」
「ダメだ……っ」
「お願い」
完全にスイッチが入っている春斗は熱がこもった目で俺を射抜く。
その目に昨日の熱りを思い出し言葉を詰まらせていると春斗の手が服を捲し上げようとするから、慌ててその手を掴んだ。
「やめろ春斗、こんなのダメだっ」
俺の制止に春斗は応じてくれず、逆に俺の手を掴むとそれをベッドに縫い付けた。反撃しようとした左手もあっけなく捕まって同様に縫い付けられる。
抜け出そうにも痛いくらいに手首を握りしめられ、睨み下ろされ、春斗が春斗でないような感覚に恐怖が膨らんで体が硬直する。
ついには力でも負けてしまったか、と頭の隅で考えている間も春斗の暴走は止まることなく、首を這う舌の感覚に背筋が震える。
「は、ると、やめっ……ぅく」
首筋を舐め上げる舌は耳に行き着くと舌先で輪郭をなぞって、穴に突っ込み、卑猥な音を立てて吸い上げ始めた。
脳髄まで犯されているような錯覚に陥るその音に指先から力が抜けていく。
言葉でも力でも春斗を止めることはできず、それ以外の方法も浮かばず、俺はまた春斗の人形に成り果てた。
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