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※行き場のない愛はこの心に
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その夜も春斗はやってきた。
常夜灯の微かな明かりを頼りにベッドまで来ると布団に潜り込んで俺に覆いかぶさり、裾から忍び込ませた手で肌を撫で上げ胸の先端を軽く摘まんだ。
その刺激に小さく声を漏らせば、春斗はもう片方の手で俺の口を塞いでさっきよりも強い力で乳首を捻る。
「んぅ゛」
腰を跳ねさせると春斗の腹に勃起したものが擦れる。その刺激にも声を漏らせば口を押さえていた手は下半身に向かい、開いた口は春斗の口に塞がれた。
上あごを舌先でくすぐられ、舌を絡めとられ、吸い出され、キスに酔い痴れているとパンツをずらされ陰茎を容赦なく扱き上げられ、乳首は指先で押しつぶされ、どこもかしこも気持ちよくて春斗の口の中に喘ぎ声を吐き散らす。
もしこの先、春斗が好きな男と結ばれて体を重ねる時が来た時に、こんな風に相手の男に触れるのかと想像するだけでも気が狂いそうになる。
もう誰のことも好きにならず、誰かを好きになったとしてもその愛に行き場がないならまたこうして俺を身代わりにしてくれたらいいのに。
こんな最低なことを考える自分に心底嫌気がさして春斗の腕をつかむ手に力が入る。
春斗はそんな小さな変化にも気づいたのか唇を離して俺の目をのぞき込んできた。
「どうしたの?」
「っ、なんでもない」
その目に見られているとすべてを見透かされそうで、思わず顔を背けた。するとこめかみに何かが落ちてきた。
「ごめん秋にぃ。今日で最後にするから、こっち向いて。俺を見て」
震える声に恐る恐る顔を戻すと今度は頬に何かを感じた。
その正体は春斗の目から止めどなく溢れる涙だった。
歯を食いしばって我慢しているようだけどその涙は俺の顔にぽたぽたと滴り落ちてくる。
「はる、と……?」
「ごめん、好きになってごめん。明日からちゃんと弟に戻るから、今日だけでいいから、最後に俺を愛して……っ」
「え、だって、お前、好きな男がいるって……」
「そんなの秋にぃしかいない。俺はずっと秋にぃが好きだったんだよ」
春斗が俺の胸に額を預けて声を絞り出す。
突然の告白に信じられない気持ちで固まっていると、拒絶されていると勘違いした春斗が今までの心情を吐露し始めた。
「秋にぃにこっちを向いてほしくていろいろ頑張ってたのに、秋にぃはいつもすぐ他のことに目がいくから後ろをついていくことしか思いつかなくて……」
いまだに止まらない涙はどんどん俺の胸を濡らしていく。
「でもそれはただの勘違いで、時が経てば落ち着くと思ってたこの気持ちは大きくなるばっかりで、つい我慢できなくなって嘘までついてレイプまがいのことをして、……本当にごめん、こんな弟で、ごめ、ん」
兄弟という、無条件で傍にいられる関係が皮肉にも春斗をこんなにも追い詰めていたのか。
せめて兄弟じゃなければ、例えば男同士でも他人だったなら俺も春斗も悩むことはなかっただろう。でもそうなると出会うこともなかっただろう。
そうなるとやっぱり兄弟でよかったと思えてしまうから不思議なものだ。
今も胸で泣きながら謝り続ける春斗を落ち着かせようと背中を優しく撫でる。
「俺も春斗が好きだよ」
「ん、ありがと……」
あやされているとでも思ったのか春斗は顔を上げてくれなかった。
だから春斗の顔を挟んで持ち上げると唇を軽く押し付けて、もう一度「好き」と告げた。そしたらさっきの俺と同じく信じられない様子で固まってしまった。
春斗の目から新たに出てくる涙は見られず、それほどの衝撃だったことが見て取れる。
「あ、え、でも……あの先輩、香織さん、だっけ。告白されて、秋にぃも好きって、だから今日で終わりにしよう、と……あれ?」
なんでそのことを知ってるんだとその時を思い出すと同時にその時聞こえた足音も思い出す。
そうか、あの足音の主は春斗だったのか。そこまで聞いてたなら最後まで聞いていけばよかったのに。
「香織は俺には他に好きな人がいるって気付いてたみたいなんだ。だから俺とは付き合えないって言われた」
最低なことをして泣かせてしまった件は学食のデザート一週間分で許してもらえることになった。
暫くはぎこちないだろうけど、香織が許してくれるなら友達としていい関係を築いていきたい。
「え、いつから俺が好きだったの?」
「さあ、いつからだろうな」
この感情が芽生えたのは確かにあの時だ。だけど種はずっと前からそこで眠っていて、これだけは芽生えさせてはいけないと日陰に追いやり、必死に他の種を育てていただけなのかもしれない。
春斗は今の状況を理解しようとしているのかまた固まってしまった。しかしだんだん口元を緩ませると嬉しそうに目を細めて笑う。
今まで見たことのないその顔は俺の心臓を高鳴らせるのには十分すぎるものだった。
「春斗、続き……しよ」
春斗の顔を挟んでいた手をもう一度引き寄せて、強請るように春斗の唇を何度もついばむ。
合間に春斗の小さく笑う声が聞こえる。それが荒い吐息へ代わるのに時間はかからなかった。
不思議なことに、していることは同じなのに気持ちが通じ合った後だと気持ちよさが倍増して、俺の体は早くも春斗を求めて疼き始めた。
それを感じ取った春斗が俺の足を開かせると先端を尻穴に当てがう。
間もなく春斗が中に入ってくる。俺の体は慣れたもので、春斗を容易に受け入れると貪欲にもっともっとと求めて中がひくついた。
春斗はその中の感覚を味わうように律動はせずに腰を押し付けたまま俺を揺さぶり始めた。
「んぁ、あ、~っ、う、ぁ」
「はぁ、ぁ、ぅっ、……秋にぃ、気持ち、いい?」
「ぅ、ん、気持ち、ぃ。はると、はっ?」
「ん、俺も気持ちぃ」
今までなかったやり取りに、空っぽだった心が満たされていく。
そうして春斗は徐に律動を始めると、いつものように耳元で愛を囁き始めた。
「好き、好きだ……ぁっ、好き、だい、好きっ、愛してる」
一突き一突き刻み込まれる愛をひとつも取りこぼさないよう春斗にしがみつく。
俺も愛してる。そう返したけど突かれるたびに出る喘ぎ声のせいでちゃんとした言葉になったか自分ではわからなかった。
だけど春斗のが中で一際大きくなった感覚がして、ちゃんと伝わったんだと安心した。
「秋にぃ、だいすき、っん、秋にぃ、あ、きに、ぃっ、あ、ぃしてるっ」
「あ、んぅ、はる、とっ、はると、おれも、すき、ぃっ、だいすきっ、愛して、る、ぅっ」
今まで抑えていた感情が溢れだし、互いの呼び名と愛の言葉しか出てこなくなる。
そうして一突きごとにどんどん愛が深くなり、今まで届かなかったところまで春斗が入ってきた瞬間、頭が真っ白になった。
「んぁ゛あっ……!」
「あ、そんな、締められ、たら、っでる、ぅ……っく」
尻穴の収縮に合わせて春斗が大きく脈を打ちながら中に欲をぶちまける。それらが収まらないうちから口を塞がれ、息も絶え絶えにキスが続く。
酸欠一歩手前で離された口からわずかばかりの酸素を取り込むとまた口を塞がれる。
さすがに苦しくなって春斗を押し返したけど。
「はあ、はぁ、っ、ちょ、休憩……んむ」
また口を塞がれ、俺は「調子に乗るな」と春斗の顎を押しのけた。
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