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一緒に落ちるなら地獄まで
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家族四人で囲む夜の食卓は、あの日以上の居心地の悪さを感じた。
飯もろくにのどを通らず、しかし今朝と同じように心配をかけるわけにはいかないと無理やりに飯を詰め込んだ。
「お前たち、今朝も喧嘩したんだって? 母さんが心配するからほどほどにするんだぞ」
そんな中、今度は父さんが言うから俺は味噌汁を吹きそうになった。
でも相変わらず強かで図太い春斗は「だからゲームしてるだけなんだって。まったく母さんは大袈裟なんだから」と笑い話にする。
春斗は覚悟ができているからこんなにも落ち着いていられるのか。
だったら俺もそうしないと。俺がへまをして二人にバレるようなことがあったら死んでも死にきれない。
覚悟を改めると少し余裕ができたのか、喉が詰まる感覚はなくなった。
これからも春斗と一緒にいるためには必要なことだと思うとその隠し事に後ろめたさは感じなかった。
夕飯を終えて立ち上がった春斗が俺の手を取る。
「秋にぃ、ゲームの続き、しよ」
「っ、おう、手加減しねーからな」
「それはこっちの台詞」
連れだって階段を上がる後ろで「仲が良くていいじゃないか」と母さんを安心させる父さんの声が聞こえる。
父さん、母さん、ごめんなさい。
俺は心配してくれた二人に心の中で謝りながら禁忌の扉を開けた。
その扉が閉まるとほぼ同時にどちらからともなく唇を重ね合わせる。
「秋にぃ、愛してる」
「俺も、愛してる」
俺たちのこの関係はきっと誰からも、両親からも祝福されることはない。それどころかきっと周りを不幸にしてしまう。
そんな禁断の関係だとしても、俺と春斗が幸せならどうでもよく思えた。
とんだ親不孝者だ。でも何が何でも隠し通すから、地獄まで持っていくから、どうか俺たち兄弟を許してください。
END
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