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降野忠之
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21時の消灯時間を過ぎても聞こえてくる罵声に、やはりここは異常なのだと思い知る。閉鎖された施設、娯楽のない部屋、更生する気のない受刑者たち、立場の弱い看守。
そんな異常な男たちがひしめき合う刑務所が、俺――降野忠之の職場だ。
この刑務所はどうしようもない受刑者たちの最後の受け皿だった。反省や社会復帰なんて言葉は存在しない、荒んだ場所だった。
そんな環境に慣れてしまえば、もう何も考えなくなった。不条理だと分かっていても心は動かなかった。
受刑者番号199番――ツグと出会うまでは。
「やっ! ぁ、んぅ……っ」
「なんだ。てめえ、ここが好きだったのか」
少し掠れた声で、背後からツグが囁いた。鈴口を押し潰されながら続く乱暴な律動に、繋がった局部が快感に震えて収縮を繰り返す。
「ひ、ぃ……っ! ん、んんッ!」
「てめえ看守だろ? 俺相手にこんなにしやがって、恥ずかしくねえのか」
「あぁッ、あ……うぁ、あァッ!」
「ふん、マジで傑作だな。その情けねえ顔」
壁に手をついて腰を突き出した俺を、後ろから覗き込んだツグが嘲笑う。その表情にも欲情して喘ぐと、武骨な手に自身の根元を掴まれた。
「あぁっ! ひッ、ぁん……っ」
「ここで出すんじゃねえぞ。部屋が汚れる」
その言葉とは裏腹に、ツグは指先で鈴口を撫でてきた。溢れていた愛液を塗り広げられる動きに、理性を失った体が震える。
彼は片手で俺の腰を固定すると、再び肉壁を穿った。淫らな水音と肌と肌がぶつかる乾いた音に煽られ、与えられる快感にとめどなく涙が流れる。
「ひ、ぃ! ひッ……う、あぁ!」
「ちっ……マジで堪え性のねえやつだな」
射精を止められたまま余計に敏感になった体を責め立てられ、ひっきりなしに快感が駆け抜ける。ツグも限界が近いのか、平らな胸を乱暴にまさぐられる。
「あぁッ! はぁっ、あぁ、んぅ……ッ!」
「く……」
低い唸り声が聞こえたかと思うと、彼の昂ぶりが一段と深く挿入された。汗ばんだ体が密着する。少し上擦った声で出すぞと囁かれた瞬間、体内に熱い飛沫を感じた。
「うあぁ! ツグ、や、あぁっ! ひ、うぅッ!」
力強い怒張が肉壁を広げるように膨張し、所狭しと圧迫する。自身の根元を握られたまま扱かれ、俺は射精しないまま達した。
夜の静寂に湿った息遣いだけが響く。数回ストロークを繰り返してすべてを出し切ったツグは、大きく息を吐いて立ち上がった。支えを失った体が崩れそうになるが、震える脚を叱咤しその場で何とかうずくまる。
ぼんやりした頭で息を整えていると、視界の端でツグがベッドに寝転がった。次いで、面倒そうな声が投げかけられる。
「おい」
目だけで彼を見やると、気怠そうに顎で扉を示している。
「終わったなら、さっさと出ていけ」
余韻の欠片もなかった。いつもと同じ、事が終われば俺に用はないのだ。
「……分かってる」
ツグの機嫌を損ねないうちに戻ろう。ぼんやりした頭でそれだけ考えて、湿った体のまま無理矢理制服を着る。
ノブを握り、小さな金属音を立てて独房の扉を開ける。最後に一度だけ振り返ったが、ツグはもうこちらを見てはいなかった。
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