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プロローグ【歌】
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シーンとなった部屋は少し寂しさを感じる。
なんだか眠ることもできなくて、ずっと静かな部屋で座っていた。
1時......1時半......どんどん時間が過ぎていく。
寝なきゃ、とは思うけど、どうしても寝る気にならなかった。
そして時刻は1時45分を回った。
なんだか声が聞こえる気がする。
ベランダ?
寮のベランダに出る。
音が鮮明になった。
「眠る~夜空に~浮かぶ君と~」
綺麗な音色につられて横を向くと、隣の部屋のベランダに新井くんがいた。
歌を歌っているのか。新井くんの声、すごくきれい……。
歌を邪魔したくなくて、静かに空を眺めながら歌に耳を傾ける。
「駆け抜ける風に~揺られながら~」
途中まで歌って、僕の存在に気が付いたみたいだ。
「あれ、起きてたの?」
歌を止めて、僕の方を見てきた。
「うん。邪魔しちゃったかな」
「ううん、へーきだよ」
新井君は静かに空を見上げた。
「歌、好きなの?」
「まあね。この時間に......よく歌うんだ」
「へえ~なんて曲?」
「......AM1:45の君に」
「......」
ちょうど今の時間にぴったりだった。
「いい曲だね」
「うん」
しばらく無言の時が流れる。
「じゃあ、そろそろ、寝るね」
「おう。おやすみ」
「おやすみ」
ベランダを出るころには、すっかり眠くなっていた。
ベッドに入ると、すぐに意識が遠のいていった。
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